40.5%は「何もしていないヨ」…退職に備えた資産形成、何してる?
2010/04/25 07:05
フィデリティ投信は2010年4月13日、退職金と老後生活に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、退職後の必要資産を創り出すため「特に何もしていない」と答えた人が40.5%に達したことが分かった。【4割強が老後難民予備軍…退職後の資金準備額、ゼロの人は44.3%・50代でも2割強】で触れた「資産準備額がゼロの人の割合」とほぼ一致しており、「資金的にも心構えとしても備え無くして憂い有り」状態な人の存在が気になる結果となっている(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2010年2月5日から15日にかけてインターネット経由で20歳から59歳の公務員・会社員に対して行われたもので、有効回答数は1万0976人。男女比は7730対3246、年齢階層比は20代2464人・30代2937人・40代2827人・50代2748人。調査そのものはIpsos日本統計調査が実施した。
一般的に退職後の生活資金として、公的年金以外に必要な額は約3000万円といわれている。預貯金や資産運用など重点を置く方法は人それぞれだが、それでは具体的にどの程度の人が「備え」として資産運用や貯蓄を(自分自身から)しているのだろうか。
↑ 実際に退職後の資産形成として行っていることは何ですか(択一)
年齢階層・性別的な差はほとんど無い。強いて言えば女性の方が資産運用には消極的で、貯蓄に積極的なくらい。5割強が貯蓄、1割前後が資産運用、そして4割が「特に何もしていない」。【自分の年金額を知っている人は 52.0%、でも「十分な額」と思う人はどれくらい?】でも触れているが、4割強は「公的年金だけでは生活できない水準だ」と考えているにも関わらず、自ら何か行動を起こして手持ちの資産をどうにかしようとは、一切考えていないことになる。あきらめ、というよりは「お金への配慮・傾注」そのものが不足している感はある。あるいは余剰資金を形成すること自体が難しいのかもしれない。
これを年収別に見ると、後者の推論の確からしさが見えてくる。低年収ほど「特に何もしていない」の割合が大きく、300万円以下では53.5%と過半数に及んでいる。「特に何もしていない」では無く「したいが特に何もできない」というのが心境だろう。
↑ 実際に退職後の資産形成として行っていることは何ですか(択一)(年収別)
1.資産運用派が増加
2.計画的な貯蓄派も増加
3.無計画派は減少
・年収1000万円を超えたあたりで
1.特に何もしていない派の減少が止まる
資産運用の割合が25%の領域で止まるのは、「わざわざ資産運用でリスクを背負わなくとも、素直に貯蓄すれば十分蓄財はできる」という認識が高まるからだと想像できる。貯蓄派が増加し、中でも「計画的な貯蓄」が増えるのがその表れ。
また「特に何もしていない」が2割弱を維持し続けているのは、「流動性貯金への積み増しだけで何とかなる。資産運用や貯蓄に気を回さなくとも」「退職金や企業年金がたっぷり出るし」というあたりが本音だろう。同じ選択肢「特に何もしていない」でも、年収300万円未満と年収2000万円以上では、その中身は大きく異なることは理解できる。
【最良の投資方法とはまず最初に●●を○○すること】などでも触れているが、預貯金の中には毎月一定額を自動的に引き落として貯蓄するタイプのものもある。「つい忘れて」「貯金するクセがなかなかつかなくて」という人でも、勝手に蓄財が出来る素晴らしいシステムである。あるいは「五百玉貯金」に代表されるように、特定の小銭が財布に入ったら極力それを貯金箱に収め、詰まった段階で専用の口座に移し替えるというやり方もある。資産運用にしても、毎月一定額を自動的に投資信託の購入に回すという手立てを使えるところもある。
額は自分のできる範囲で構わない。継続することで、大きく育ち、自分自身の力と自信につながっていく。自分自身も「特に何もしていない」に含まれていたら、今日からでも貯金なり資産運用を考えてみてはいかがだろうか。
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