みんなが感じる百貨店の魅力・不満点、いったい何だろう?
2010/04/19 19:30
マイボイスコムは2010年3月19日、百貨店の利用に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、百貨店に感じる魅力として上位に挙がったのは「高級感」「商品の品質が良い」などだった。一方で不満点として最上位についたのは「価格が高い」で、こちらは8割近い人が不満をもらしている。ある意味同一の特徴を短所・長所両面でとらえているようでもあり、百貨店独自の問題が露呈しているのが分かる(【発表リリース】)。
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今調査は2010年3月1から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万3858人。男女比は46対54、年齢階層比は10代1%・20代13%・30代34%・40代31%・50歳以上21%。
【百貨店やスーパーの分野別売上高推移(2010年2月版)】でも解説しているが、「百貨店」と「デパート」とは所属している協会の違いぐらいでしかなく、実質同じものと判断して良い。その百貨店の業績は月次レポートでもお伝えしているように、決して芳しいものではなく、特に2007年以降は飲食料品以外は急速に売り上げを落としている。
それでは百貨店のどこに問題があるのだろうか。それをうかがい知ることができるのが今回の調査結果項目。魅力と不満点それぞれを複数回答で尋ね、上位の項目を抽出したのが次のグラフ。
↑ あなたが百貨店に対して魅力を感じるのはどのような点ですか(複数回答、5%以上回答のみ)
↑ あなたが百貨店に対して不満を感じるのはどのような点ですか(複数回答、5%以上回答のみ)
魅力項目には多数の項目にそれなりの同意意見が寄せられており、人によって感じ方は異なるものの、百貨店に対する魅力は失われていないことが分かる。しかし一方で不満点としては「価格が高い」が断トツで多く、次いで「店員のわずらわしさ」が付き、あとは「品揃えの偏り」が目立つくらいで、残りは「その他」と合わせても良いくらいの同意率しかない。
これらの結果から推測すると、
・「高級感」「高品質」が最大の魅力なのだから、それらを維持しつつ「割安感」のある商品の展開が望まれる
・品揃えの豊富さや付帯設備、センスの良さ、催事などは「昔と比べて」質が落ちていないか、現状に対応しているかなどの確認が必要
などの改善点が見えてくる。「高級感・高品質」を維持しつつ「割安感」のある商品とは探すのが難しいのは否めない。しかし長年の選択眼を活かすことができれば、目玉商品として多数を揃えることは出来ないはずはない(食品コーナーではすでに一部でそれを実践できている。だからこそ売り上げの落ち込みも低いといえる)。
また「品揃えの豊富さ」だが、かねてから指摘しているように「絶対数」ではネット通販にかなうはずがない。しかし百貨店で無ければ手に入らない特注品、あるいは「直に触れ、目に留めることではじめて良さが分かる商品」であれば、デパートの物理的(リアルという意味での)スケールメリットを活かすことはできる。これもまた、食品コーナーではすでに効果が出ている。
……と考え直してみれば、百貨店の問題点、そしてその解決方法のヒントは、百貨店自身の食品コーナーに濃縮されている感がある。何も「すべてを食品コーナーにしろ」というわけではないが、分析するのに十分な価値はあるに違いない。
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