4割強が老後難民予備軍…退職後の資金準備額、ゼロの人は44.3%・50代でも2割強
2010/04/15 12:00
フィデリティ投信は2010年4月13日、退職金と老後生活に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、退職後の生活用として準備している(公的年金以外の)資金の平均額は516万円であることが分かった。一般的・同調査内共に「退職後に公的年金以外に必要な生活資金は約3000万円」という値が出ていることと比較すると、多くの人が準備不足であることが分かる。「準備金ゼロ」の人が平均で44.3%、50代でも2割強に達している事実を受けてリリース側では「4割が老後難民予備軍」と評している(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2010年2月5日から15日にかけてインターネット経由で20歳から59歳の公務員・会社員に対して行われたもので、有効回答数は1万0976人。男女比は7730対3246、年齢階層比は20代2464人・30代2937人・40代2827人・50代2748人。調査そのものはIpsos日本統計調査が実施した。
退職前の生活水準や退職後の希望生活様式によっても異なるが、豊かな退職後生活を送るためには公的年金以外に3000万円前後の資金が必要とされている。今調査別項目でも必要額の平均は全体平均で2989万円という値が出ている。
それではその額に対し、現在どれだけ準備が整っているだろうか。その金額について尋ねたところ、すでに3000万円以上を貯めて「(退職金が仮にゼロだったとしても)準備は万事OK」と断じることができる人は3.3%に過ぎなかった。逆に「まだ全然、ゼロです」という人は44.3%にも達していた。
↑ 退職後の生活用として準備している資金は(一部概算、再構成)
退職後の資金について20代と50代をそのまま比較するのはあまりにも酷。歳を重ねていくうちに少しずつ蓄積し、増やしていくからだ。そこで年齢階層別で見ると、当然のことながら若年層ほど資金額が小さいことが分かる。20代では6割近くが「退職後の貯蓄はゼロ」状態。ただまだこの時点では退職後のイメージそのものが沸かないだろうから、仕方がないのかもしれない(貯蓄自身は積極的に行っているとの結果が別調査で出ているが(【この先でお金や時間をかけるもの、若者「貯蓄」団塊は「レジャー」】、【「公的年金に期待しない」若年層は7割を超える】))。
むしろ問題なのは退職を間近に控えた40代-50代の世代の人たち。40代で40割強、50代でも2割強が「ゼロ」の項目に収まっている。
↑ 退職後の生活用として準備している資金がゼロの人の割合(各性別・年齢階層内で)
【退職金の平均額は1600万円……100万円未満は2割、5000万円以上も3%強】によれば平均的な退職金額は1600万円。3000万円から1600万円を引くと1400万円になるので、退職金をすべて退職後の生活費に充当するとしても、1400万円は退職までに貯めておく必要が生じることになる。
もっともリリースでも触れているように、この「3000万円」という必要額は退職後に想定している生活水準で大きく変動する。それを考慮した上で、自分の退職金予定額・現在の収入と貯蓄ペース・貯蓄額などさまざまなお金の状況を把握し、今後を見通せる計画(ライフプラン)を作成することで、「これからのお金の不安」を少しでも減らせることができる。日本ではライフプランの作成そのものがまだ普及しておらず、「ライフプラン」という言葉そのものも浸透していないのが現状だが、是非とも作成をお勧めしたい。足元が少しでも明るく見えてくるはずだ。
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