【更新】2009年は6割超が…住宅火災の死者は年々減少、しかし高齢者数は漸増中
2010/04/11 08:00
総務省消防庁は2010年4月2日、2009年における火災の概要・概数のレポートを発表した。それによると住宅火災での死者は1025人となり、昨年同期より98人・8.7%減少していることが分かった。一方、そのうち65歳以上の高齢者は628人となり、61.3%と6割を超える値を示していることが明らかになった。この比率は多少の上下を繰り返しながらも総じて上昇する傾向を見せており、今後住宅火災における注視点の一つともいえる([発表リリース、PDF])。
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2009年における火災件数総数は5万1124件。これは過去五年間で最少の値を示しており、また年々減少する傾向にある。死者(自ら命を絶った人などを除く)も同様で2009年は1025人、やはり過去五年での最小値をみせている。
↑ 過去5年間の火災件数と住宅火災における死者
一方、住宅火災における死者の数を見ると、一様に減少しているわけではないことが分かる。2005年以降は全体としては減少傾向にあるが、65歳以上の高齢者に限れば増加の一途をたどり、直近の2009年でようやく小休止状態になったことが確認できる。
↑ 住宅火災における死者数の推移(自ら命を絶った人などを除く)
この10年で高齢者の比率は5ポイントほど増加しているが、これは【「お年寄りがいる家」のうち1/4・414万世帯は「一人きり」】にもあるように、独り暮らしの高齢者の増加も一因と考えられる(経路別状況では「逃げ遅れ」がもっとも多く全体の50.4%、火元原因では「たばこ」が16.0%で最多を占める)。【自動火災感知設備の設置率は45%・この5年で倍増へ】などで解説されているように、2004年の消防法改正で住宅用火災警報器の設置が義務付けられたが、必ずしも高い設置比率とはいえない。
高齢者の人口比率の増加につれて、むしろそれ以上の速いスピードで増えると思われる高齢者の火災による悲劇を最小限に留めるためには、報知器の普及促進はもちろん必要不可欠。それと同時に、防災意識を地域単位で高めることなど、周囲が一体となった防火対策が求められよう。
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