行先はショッピングセンターやモール、そしてオンラインへ…百貨店購入を止めた人たちの行先
2010/04/09 05:15
マイボイスコムは2010年3月19日、百貨店の利用に関するアンケート調査の結果を発表した。それによると調査母体のうち百貨店利用者で、かつて百貨店で買っていたが最近では買わなくなった商品がある人においては、その商品を購入するようになった行先のトップは「ショッピングセンター・モール」だった。55.7%の人たちがそれらの店で、かつて百貨店で買っていたものを購入するようになったと答えている。次いで「オンライン専用ショップ」との回答が36.0%と高い値を占めており、「アウトレット」「オンライン」と昨今の消費スタイルの特徴をとらえた結果となっている(【発表リリース】)。
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今調査は2010年3月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万3858人。男女比は46対54。年齢階層比は10代1%・20代13%・30代34%・40代31%・50歳以上21%。今件対象の「百貨店」は、当サイトで業界団体発表の売上高を定期更新している「チェーンストア」(スーパーやデパート)と比べると、「百貨店」か「デパート」の違いがある。しかし実際には、表記上の違いでしかないと見なしてよい。具体的には「日本チェーンストア協会に加盟している大規模店舗で展開する総合小売業者がデパート、日本百貨店協会に加盟している大規模店舗で展開する総合小売業者が百貨店」という程度のものなので、同一視して問題ない。
先の【「百貨店で買わなくなったもの」トップは婦人服・紳士服】で、調査母体のうち半年に1回程度以上百貨店を利用する人は66.6%。それ以外は百貨店に対して「ほとんど行かない」「利用したことが無い」と答えている話について触れた。そしてそれらの人のうち、百貨店で購入するのを止めて他店舗で買うようになった商品としては、「婦人服」「紳士服」などが上位を占めている現状も確認できた。また逆算すると、約6割は「百貨店での買い物を止めて他店舗で購入するようになった商品がある」という計算になることも分かった。
↑ 以下の商品の中で、百貨店で買うのをやめて他の店舗などで購入するようになったものはありますか?(百貨店利用経験者限定)(複数回答)(再録)
そこで、「百貨店利用者」で「かつて百貨店で買っていたが最近では買わなくなった商品がある人」(0.666×約0.6=約0.4で、調査母体全体の約4割に相当する)に対し、他の店舗とは具体的にどこを指すのかについて尋ねたところ、もっとも多い回答は「ショッピングセンター・モール」だった。55.7%と過半数の人がいきついている。
↑ 他のどのようなところで購入するようになりましたか(複数回答、百貨店での購入を止めたものかある人限定)
【消費スタイル調査から読み解くデパート不調の原因】や【デパート不調のもう一つの理由・アウトレットモールの魅力を探る】、さらには百貨店で購入するのを止めて他店舗で買うようになった商品の上位に「婦人服」「紳士服」「ファッション雑貨・小物」などがついているあたりを見ると、「ショッピングセンター・モール」を選んだ人の多くは「衣料品の購入先」を移動したものと見て問題ない。そして来場そのものが無くなるのだから、波及しうる他の項目の品々も売れなくなるという構図だ。
また、本来百貨店のメリットだったはずの「豊富な品ぞろえ」をワールドワイドで提供してくれる「オンライン専用ショップ」が第二位についているのも注目に値する。つまりは百貨店のメリットが他業種に奪われ、お客も引き抜かれるという状況になる。
結局のところお客が百貨店で商品を買わなくなり(=売り上げ減退)、足を向ける機会も少なくなっている(=来場客数減少、他商品のついで買いの機会も無くなる)のは、かつてのメリットが新業種に奪われているからに他ならない(もちろん不景気による可処分所得の減少も無視はできないが)。
従来の販売スタイルを貫き通すつもりが百貨店にあるのなら、せめて時代の流れに沿った「衣替え」をする必要がある。答えを見つけるのは難しいが、それを探しだせれば百貨店(デパート)も昨今の荒波を乗り越えられるに違いない。
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