「何があっても最低3年はこの会社で」8割を超える、そして望みは……

2010/04/07 07:06

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定年退職インターネットを活用して新しい生命保険サービスを提供するライフネット生命保険は2010年3月30日、新卒者の就職活動に関する意識調査の結果を発表した。それによると調査母体においては、「どんな会社に入っても最低3年は勤めるか」という設問に対し「非常に」「やや」を合わせた「当てはまる」の回答を選んだ人は、82.2%に達したことが分かった。そして「できれば定年まで働けるような企業に就職したい」人も8割強を占めており、昨今の雇用情勢を色濃く反映した結果となっている(【発表リリース】)。



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今調査は2010年2月25日から3月2日にかけて、2011年4月に新卒社会人として働き始める予定の学生に対して、携帯電話経由のインターネット調査によって行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1。調査そのものはネットエイジアが担当している。

「終身雇用制」という言葉が昔ほど重みを持たなくなった昨今だが、一時はむしろそれを歓迎する向きもあった。しかし【景気減退で高まる不平等感・競争よりも平等を求む傾向へ……!?】【新社会人が会社に求めたもの・「安全性」と「終身雇用」】などにもあるように、雇用情勢が厳しくなった昨今においては、居心地の良い安定性の高い企業ならば、積極的に「定年まで勤めたい」とする「終身雇用制万歳」的な動きも見受けられる。また、再就職も非常に難しい中では、たとえ自分と肌が合わない企業でも我慢して何とかしがみつくべきだという意見も少なくない(【できるなら 定年までは 働きたい 転職願望 大いに減少】)。

そこで今現在自分が勤めている・勤めている会社が該当するか否かは別として「どんな会社に入っても最低3年間は勤めようと思うか」という設問を投げかけたところ、8割以上の人が「その意見には同意できる」と回答を寄せた。「非常によく当てはまる、同意できる」とする人が55.8%と過半数に達していることからも、現状の就職難の度合いが痛いほどよく分かる。

↑ どんな会社に入っても最低3年は勤めようと思う
↑ どんな会社に入っても最低3年は勤めようと思う

↑ どんな会社に入っても最低3年は勤めようと思う・DI値
↑ どんな会社に入っても最低3年は勤めようと思う・DI値

階層別でやや差異が生じているが、いずれでも半数前後には達しており、多くの人が「まずは就職出来たことを喜ばねば」とする意見であることが分かる。また、学歴別では大学・大学院生の強い思いが確認できるが、これは【日本の学歴・年代別失業率(2009年版)】にもある通り、高学歴者の就職が難しい現状の裏返しともいえる。

定年まで働ける企業、そんなところに勤めたい
それでは3年といわず10年でも20年でも、それこそ定年まで働けるような居心地の良い企業があるとして、そこに勤めたいと思うだろうか。転職によるキャリアアップや将来における自立を思っている人、機会主義的な人や、終身雇用を否定する考えの人にはあまり同意できそうにない問いだが、ふたを開けてみるとこちらもやはり8割前後の人が同意を示す結果となった。

↑ できれば定年まで働ける企業に就職したい
↑ できれば定年まで働ける企業に就職したい

↑ できれば定年まで働ける企業に就職したい・DI値
↑ できれば定年まで働ける企業に就職したい・DI値

こちらもやはり男性の方が女性より、大学・大学院生の方がより強い想いを抱いていることが確認できる。それにしても短大生・専門生は各階層の中で一番弱い値を示しているが、自分の腕前(スキル、技術)に自信があり、どこででもやっていけるという裏返しなのだろうか。



今回のデータを見ても、一時期流行った「終身雇用制はもう古い、多くの人から敬遠されている」という時代は過ぎ去り、企業次第では是非とも定年まで働きたいとする意見が多いことが改めて分かる。「一所懸命」(「一生懸命」の語源。鎌倉時代の武士が、自分が授かった所領(一所)を命がけで(懸命)守るという意味)という言葉が定着した、本来の日本の風習に戻りつつある、と考えてみるのはあまりにも飛躍しすぎだろうか。

もっともそのためには、「一所」が「懸命」に守るだけのものでなければならない。企業にしてもしかり、国を司る者たちにしてもしかり、である。



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