主要テレビ局の第3四半期決算短信から有望性を試算してみる…(3)収益性
2010/04/04 19:30
【日経新聞の決算短信から有望性を試算してみる】や【お財布事情は毎日が一番……主要新聞社の短信から有望性を試算してみる】のように、『週刊東洋経済の2010年3月20日号「データが読めれば、経済がわかる!」』を元にした指標を計算し、在京キー局の上場テレビ局5局をチェックする記事パート3。直前の記事では指標のうち「安全性」の4項目について確認したわけだが、今回は「収益性」をピックアップする。
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まずは売上高営業利益率。これは当サイトの分析でもよく出てきた値。要は売上高に対してどれだけ利益をあげられるかを示したもの。この値が大きい方が、効率的に商売をしていることになる。1%なら100円の商品を販売して1円しか営業利益をあげられないという計算。
↑ 売上高営業利益率
日本テレビ放送網が群を抜いている。これは過去に【主要テレビ局銘柄の直近中間決算…(4)放送事業で赤字を出した2社と気になること、そしてまとめ】で解説したように、同社が大規模な経費削減を断行した成果による。後の記事で触れるが、売上高の落ち込み具合は尋常ではないにも関わらず、これだけ利益が出ている。ということは言葉通り「身を削って」利益を絞り出しているわけだ。
一方でフジ・メディア・ホールディングスの値は極めて小さい。こちらも後述するように、売上高の伸び率は唯一プラスを見せているにも関わらず、である。事業再編の真っただ中にあるのが一因の可能性はある。
次いで在庫回転期間。在庫をすべて販売しきるために必要な期間。当然小さい方が在庫の効率が良い。もう一つはインタレストカバレッジ。定期的な稼ぎを支払い利息で割ったもの。この値が1倍になると「日銭はすべて借金の利息に消える」という計算。稼ぎが借金のかたにとられたようなものだから、首も回らない状態になる。こちらはグラフではなく、表組化を行った。
↑ 在庫回転期間とインタレストカバレッジ
在庫回転率ではフジが唯一悪化。0.42から0.61と結構な割合で増えている。それでもテレビ東京の1.20と比べれば随分と良い値だが、去年と比べて状況が悪化しているのはいただけない。また、インタレスト・カバレッジは全社合格。特にテレビ朝日は借金の利息支払いがないようで、計算式上無限大の結果となってしまった。一方でTBSは「比較論」ではあるものの、結構苦しい立ち位置にあるのも分かる。
(続く)
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