主要テレビ局の第3四半期決算短信から有望性を試算してみる…(1)指標再定義
2010/04/04 12:05
先に【日経新聞の決算短信から有望性を試算してみる】や【お財布事情は毎日が一番……主要新聞社の短信から有望性を試算してみる】で『週刊東洋経済の2010年3月20日号「データが読めれば、経済がわかる!」』を元に、日経新聞や主要新聞社の安全性・収益性・成長性を、単純計算できる指標を使って試算した。新聞と同じメディアで経営状態が気になるのは、やはりテレビ局。今回は在京キー局と呼ばれ上場をしている5社について、同じように指標を計算してみることにした。
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まずは指標の定義。先の記事では元資料に沿って「7つのポイント」を挙げたが、先の記事掲載後一部から色々と「意見」をいただいたこともあり、2つほど指標を加えることにした。それも合わせ一覧を再掲載する。
・流動比率……流動資産÷流動負債(120%以上が望ましい)
・固定流動比率……固定資産÷(株主資本+評価・換算差額など)(100%以下が望ましい)
※長期保有資産(固定資産)のうち、自分のお金で買った比率。つまり即時現金化不可能な資産を、自分のお金の何倍購入しているか。これが高いと突発性の資金が必要な時(例えば銀行からの前倒し返済要求)に頭を抱える。
・手元流動性……(現預金+有価証券)÷(売上高÷決算月数)(1か月以上が望ましい)
・自己資本比率……(株主資本+評価・換算差額など)÷負債・純資産合計(15%以上が望ましい)
■収益性のチェック
・売上高営業利益率……営業利益÷売上高(5%以上が望ましい)
・在庫回転期間……(商品及び製品+仕掛け品+原材料及び貯蔵品)÷(売上高÷月産月数)(前年と比べて減っているのが望ましい)
・インタレスト・カバレッジ……(営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払利息(1倍以上が望ましい)
※定期的な稼ぎを支払い利息で割ったもの。この値が1倍になると「日銭はすべて借金の利息に消える」という計算。
■成長性のチェック
・売上高伸び率……(当期売上高÷前期売上高)-100%※
・固定資産投資……固定資産の取得による支出が減価償却費を上回っているのが望ましい
※原文では(当期売上高÷前期売上高)のみだったが、「-100%」を加えることで変化率を算出する
※赤文字は今回足した指標
なお以前のテレビ局関係の記事でも重々触れているように、該当テレビ局にはフジ・メディア・ホールディングスやTBSホールディングスのように、持ち株会社化・複合事業体化している企業もある。「テレビ局の財務体質云々」ということなら本当は単独決算短信を見るべきなのだが、今回は「テレビ局をも合わせた事業体としての法人の財務体質を見る」という視点、そして第3四半期決算端子では単独短信が見当たらないため、「今回は」全社連結決算の値を採用する。
また、貸借対照表上に見慣れない「番組勘定」というものがあるが、これは制作過程にある作品や、複数年契約で取得している放送権利を資産に組み入れたもの。今回は商品や製品と同様に資産として計算対象に加えている。
一部テレビ局では同社のIRページ上の第3四半期決算短信上にキャッシュフロー計算書が提示されていないものがある。こちらは今回の作業の過程で、EDINETから全文を取得している。
(続く)
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