テレビアニメを観ている人は49.7%…40代と50代にまたがる大きな世代間格差の「壁」
2010/03/27 12:10
ドゥ・ハウスは2010年3月26日、アニメ・声優に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、現在放映中のテレビアニメ番組を視聴している人の割合は49.7%とほぼ半数であることが分かった。男女別では女性の方がやや視聴率は高いが、男性は若年層に偏りが大きく、女性は40代までほぼ同水準の視聴率を見せている。また、両性とも40代と50代の間にいわゆる「ジェネレーション・ギャップ」が存在していることが確認できる結果となっている(【発表リリース】)。
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今調査は2010年3月11日から16日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2万3388人。男女比・年齢階層比は次の通り。
↑ 調査母体の男女比・年齢階層比
現在放映中のテレビアニメ(3月時点で放送されているテレビアニメ番組に限定し、レンタル・DVDなどの視聴、テレビアニメ映画は含まず)について、視聴しているか否かを尋ねたところ、全体では5割近くが視聴していると回答。2人に1人が(作品本数は別として)テレビアニメを観ている計算になる。
↑ 現在放映中のテレビアニメ番組の視聴状況(観ている人)
男性全体・女性全体で見ると、ほんの少しだが女性の方が視聴率が高い。しかし年齢階層別まで掘り下げて見ると、冒頭でも触れたが、いくつかの特徴が確認できる。
・女性は「40代までは高視聴率を維持」
・男女とも40代-50代で急激に視聴率が減少する
単独の年齢階層別視聴率では男性15-19歳の70.8%が最高だが、40代までの若年・中堅層までの視聴率では女性の方が安定的。男性が歳と共に確実に「テレビアニメに醒める」のに対し、女性は40代まで「アニメに関心を寄せている」のが分かる(もっとも女性の場合は、主婦の立場として子供と一緒にアニメを観ている可能性は否定できない。この場合、視聴率はともかく熱中度は「自らの意思で観ている」場合よりは下がる)。
これを観ている本数の区分で区切りると、「テレビアニメに関するジェネレーション・ギャップ(意識としての世代間格差)」がより一層はっきりとわかる。
↑ 現在放映中のテレビアニメ番組の視聴状況(観ている本数区分)
観ている層全体の数は上記のグラフとほぼ同じ(小数点2桁以降を四捨五入しているので多少誤差が出ている)。ところが、
・2-3作品という中堅視聴者、さらには4作品以上のヘビー視聴者となると、男女とも10-40代が多く、50代になると急に減少を見せる。この「中堅+ヘビー視聴者」層の違いが、アニメ番組視聴全体の値の差異を生み出している
・男性の10-40代は「中堅視聴者」の割合もほぼ同じ。「ヘビー視聴者」が少なくなることで、全体の視聴率を下げている
などの傾向が確認できる。
特に「40代までと50代以降にまたがる大きな壁」が確認できる。アニメに対する認識の違いも、この世代区分より前と後で大きく違うと見てよいだろう。1作品くらいなら「子供との付き合いで」という可能性も多分にあるが、2-3作品、ましてや4作品以上となると、自らの意思でアニメを視聴している可能性は極めて高い。「アニメを自ら観る意思が強い」層はこの「壁」より若い人に多く、「壁」より歳を召している人に少ない、と考えれば妥当だろうか。
実はこの「40代までと50代以降にまたがる大きな壁」は、何も今回のテレビアニメ視聴だけに限らない。ざっと見渡しても、【テレビはいまだに情報源として重要、でも世代別でみると……】にあるように「テレビや新聞への過度な盲信」、【ついに「テレビよりインターネット」の世代登場・年齢差がきわだつメディアへの接触時間】でも触れているように「新メディアに対する姿勢の違い」など、特にメディアに対する考え方・姿勢の点で、同様の壁が生じているのが確認できる(余談だが【男女の睡眠時間の転換年代「40代」について調べてみる】のように、生活リズムの変移が起きているのもこの世代)。
生態学的・生物学的モノなら
今後もこの傾向に変わりは無い。
しかし社会構造の変化に伴い
生じたものならば、
今後時間経過と共にこの「壁」は
より高齢側に移り、
若年層側の「新しい価値観」が
社会の主流となっていく。
現在では高齢化が進み、壁の向こう側、つまり50代以降の人口が相対的に増加しているため、その層の影響力が増加する現象が見られる。新メディアに対する批判的意見が社会において多く見られるのも、それが一因だろう。
しかしこの「壁」が後者の理由、つまり「社会の変化に伴い生じたもの」であるのなら、今後時間の経過と共に確実に、新世代が好むモノに対する、社会全体としての価値観や認識は変化を遂げていく。今はその過渡期にあると考えることもできよう。
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