76.6%が「若手の育成」・58.7%が「資金支援」を要望-科学技術の発展に必要な政策とは

2010/03/26 12:00

このエントリーをはてなブックマークに追加
科学技術イメージ内閣府は2010年3月15日、科学技術と社会に関する世論調査の結果を発表した。それによると、日本の科学技術の発展のために、国の政策として必要なものは何かを選択肢の中から複数選んでもらったところ、もっとも多くの人の同意を得られた項目は「次世代を担う若手の科学者、技術者の育成」だった。76.6%が賛同している。次いで「研究や開発に関する資金の支援」「科学者、技術者が共同で用いる研究設備の設置」などが続いており、名誉などよりも実質的なサポートをすべきであるとする声が強いことが把握できる(【発表リリース】)。



スポンサードリンク


今調査は2010年1月14日から24日にかけて、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1916人。男女比は1452対1548。年齢階層比は20代がやや少なめだが、男女それぞれ10歳区分で100人台後半から300人台前半。

先に(【86.8%が「国際的競争力アップのために科学技術の発展は欠かせない」】でも解説しているように、日本が国際社会の中で競争力を維持し、漸増させていくためには、科学技術の発展は欠かせないとする意識が日本国民においては多数を占めるという結果が出ている。さらにこの意見は近年にいたるにつれて増大する傾向を見せている。

↑ 「日本が国際的な競争力を高めるためには、科学技術を発展させる必要がある」(今回調査分も含めた3回分のデータ)(再録)
↑ 「日本が国際的な競争力を高めるためには、科学技術を発展させる必要がある」(今回調査分も含めた3回分のデータ)(再録)

それではその科学技術の発展に、国はどのような政策で支えるべきなのか。選択肢の中から複数回答で選んでもらったところ、トップには「次世代を担う若手の科学者、技術者の育成」がついた。

↑ 科学技術の発展に必要な政策(複数回答)
↑ 科学技術の発展に必要な政策(複数回答)

技術の発展は一過性のものではなく、継続的な注力が必要となる。また、数日、数か月の期間では無く、数年、あるいは十年単位の研究が求められるものも少なくない。中には研究者の世代交代もあり得るし、若年層の思考が研究の流れに加わるのは良いことでありこそすれ、弊害となるものではない。若手の育成は当然の結果と言える。

また「研究や開発に関する資金の支援」も同様で、現世代はもちろん次世代への研究のかけ橋のためにも、資金の支援は欠かせない。科学技術は直接的な利益を求める商売とは別物であることが多いのだから、「短期的な儲けが出なければ(たとえ将来・未来への展望が見えるものであっても)全部取りやめ」では夢も希望も無くなってしまうというもの。その考え方は「子供に対する教育費のかけ方」にも似ている。

第三位の「科学者、技術者が共同で用いる研究設備の設置」もあわせ、現在においては「科学の発展のためには、すぐにでも効果のある、実質的なサポートが欠かせない」とする意見が多数を占めていることが確認できる。



先の記事でも触れているが、科学技術への資金・人材・機会的な支援は中長期な視点での「投資」に他ならない。今回の調査結果項目を見る限りでは(恐らく諸外国とのあまりにも大きな差を受けてのものだろう、これまでの日本の姿勢と比較して)早急かつ大胆な支援を行うべきだとする声が聴こえてくる。しかし現状では「短期的な成果が見られないから」「一番になる可能性が低いから」とのお題目で、逆に大きく削減されている。

もちろん本当の「ムダ」を省くのはどのような案件においても必要だが、現時点においてですら十分でない、未来の世代に向けた投資でさえも、「今贅沢をしたいから」「贅沢させるって約束したから」と、自分自身の欲のために手をつけ奪い取るのは、現在においてはもちろんのこと、未来の子供達に対する大罪でしかない。その大罪を成したものは遠からずのうちに、その行いに対する報いを受けることになるだろう。



スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS