【更新】二極化は継続、高額域で下げ止まりか-東京23区内の賃貸住宅家賃事情(2010年3月発表分)
2010/03/21 19:30
アトラクターズ・ラボは2010年3月12日、東京23区の賃貸住宅における賃料改定状況調査結果を元にした最新データを発表した。それによると東京23区における賃貸住宅では、家賃改定の際に家賃を下げる傾向に変わりは無いものの、三か月前の調査結果【二極化は継続、賃貸料減額傾向は顕著に-東京23区内の賃貸住宅家賃事情(2009年12月発表分)】と比べて、その下げ幅の増加分が幾分大人しくなる傾向が確認出来た。特に100万円以上の層では前期と比べて下げ幅が改善する動きさえ見られ、家賃減少のスピードがゆるやかになりつつ雰囲気が感じられる(【発表リリース】)。
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今調査はアトラクターズ・ラボの賃貸住宅データベースを用いて集計したもので、対象期間は2009年10月-12月期のもの、対象データは東京23区内。同一住戸における前回募集賃料(入居・退去を経たもの)と今回募集賃料とを比較している。例えば同額だった場合、値は0%となる。前回・今回募集時期の平均期間は約2年、サンプル数は3万6401戸。
調査結果では「23区賃料改定率推移(20万円未満、20万円以上別)」「23区全体 賃貸別賃料改定率推移」「都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)と他区比較 賃料帯別賃料改定率」それぞれについてデータが公開されている。それらのうち「23区全体 賃貸別賃料改定率推移」を抽出してまとめると、次の通りとなる。
↑ 東京23区全体・賃料帯別賃料改定率
・ただし減額率は前回と比べて小さめになっている。特に40万円未満ではその傾向が強い。
・100万円以上の層では過去5回の計測データ中初めて前期比で改善が確認。
三か月前においては「空き室率を別にすれば、ほぼすべての価格帯で賃貸料金の減額幅の悪化傾向が見られる」状況だった。しかし最新発表期では減額の加速感は影を潜め、最低限の悪化に留まっている。
需要側のお財布事情の悪化で
下落傾向。
・特に高額賃貸住宅は
需要が減り、値下げを
余儀なくされている。
・ただし底値感、限界感からか
下げ幅の悪化は足踏み状態へ。
特に超高額物件の賃料帯によっては、下げ幅そのものが前回と比べて改善しているところもあるほど。前回右の写真のような「条件を絞った上での高級建売・賃貸住宅を探している」という内容のチラシの話を取り上げたが([“買いますチラシ”は実話か? 「あなたのマンション限定です」 (産経新聞)])、そのチラシの投函頻度は相変わらず。むしろ昨今の方が多いほどだ。
例えば先日投函されたチラシが手元にある。それを読むと、一部上場企業の販売子会社の名で「ある企業が経費削減のために社宅を売却、そのために引っ越しをしなければならない人で、マンション購入を検討している人が複数いる。これこれこういった条件を満たす物件は無いか」と事情を説明した上で、5000万円から1億円ほどの予算とそれなりの好条件(面積、間取り、日当たり、駅からの距離など)という、セミリッチ層のニーズが存在することをうかがわせる内容となっている。やはり賃貸物件なら、上記グラフの右側に位置するランクのもの。
やはり前回示唆したように「超高級・高額の賃貸物件においては」だが、賃貸料の下落の底打ちが近いといえよう。
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