宅配ピザが24時間営業をしないのはなぜだろう
2010/03/20 19:35
先日から【宅配と言ったら何を思い出す? 8割以上はやっぱりアレでしょ!】などで宅配ピザの記事を掲載する機会が相次いだ。その際、ツイッター経由で【宅配ピザが24時間営業をしないのはなぜだろう】という質問をいただいた。言われてみれば確かにその通り。せっかくなので色々と考えたり調べることにした。
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まずは逆に、24時間営業をしている小売店を考えてみた。筆頭に挙げられるのがコンビニエンスストア(コンビニ)。コンビニは【24時間営業コンビニのニーズはどこに!?】などでも解説しているように、「24時間いつでも開いている」ことを売りとしている。深夜の営業時間に区切って人件費や光熱費などの経費と売り上げを比較すれば、恐らくは赤字だろう。深夜営業は時間単位の人件費も割増しになる。
…多種多様な商品、サービスを提供
→深夜時間自身は赤字でも
「いつでも営業中」で知名度に貢献
→深夜営業自体がサービス
ただし経営者の負担も大きく、最近では【ローソン、サテライト店舗の展開と「以前から非24時間制を導入」と説明】などにもあるように24時間制を取りやめる店舗も増えている。要は「金銭的・労力上の負担」>>「フルサポートによるネームバリューのアップ」というバランスになったわけだ。
ところが宅配ピザの場合、コンビニと違って販売している商品は基本的に「ピザ」のみ。「24時間営業している」ことで提供できるサービスも限定されてしまう。そして冷静に「深夜の時間帯にピザを欲しいと思う人(要は「需要」)がどれだけいるのか」と考えれば、どう考えても売り上げがほとんど上がらないのは目に見えている。
…深夜にピザを多人数で食べる需要が無い
→経費ばかりかかる
→深夜営業しても知名度貢献にならない
→提供商品種類が単発なので
顧客ニーズが限定されている
居酒屋でピザを頼むのならともかく、わざわざ夜中に宅配ピザを注文するニーズはほとんどない。しかも他の商品へのついで買いも期待できない(惣菜やデザートがあるとはいえ、メインの商品は「ピザ」のみ)以上、わざわざ深夜時間帯に営業して「24時間いつでも宅配しますヨ」とアピールするメリットは無い。アピールしたところでそれに応える需要そのものが無きに等しいからだ。
●「実際に、聞いてみた」
……と、理詰めで考えれば何となく「宅配ピザが24時間制ではない、深夜のピザ宅配サービスは無い」(地方では地域限定であるかもしれないが……)の理由は分かったものの、肝心の宅配ピザ会社側の言質を得ているわけではない。
そこで検索エンジンで「宅配ピザ」とキーワードを入力、その結果一覧からピザチェーン店を複数抽出し、ほぼ同じ文面で「なぜ24時間営業をしていないのか」について問い合わせたところ、【日本ケンタッキー・フライド・チキン(9873)】が展開するピザチェーン「ピザハット」から次のような回答をいただくことができた。
また、この度はご興味をお持ちいただき、ご連絡いただきましたこと御礼申し上げます。
営業時間は、地域のお客様のご需要に応じて設定しております。
深夜のご要望はほとんどないことから、当社では深夜営業を行っておりません。
今後も引き続きご愛顧賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)広報室
やはり推測した通り、深夜に宅配ピザを食べたいという需要はほとんど無く、結果として無意味な深夜宅配はしない、というのが正解といえる(「深夜のご要望はほとんどなく」ということから、何らかの調査をしたようだ)。
もし深夜にピザが欲しい場合には、コンビニで「ピザまん」を注文するか、冷凍食品コーナーで冷凍ピザを頼み、自宅で調理するのが無難なようだ。
……仮に今後「深夜ピザ」のニーズが高まれば、24時間営業のコンビニのフライヤー食品の一環として、ピザを出すのもありかな、という感はある。幸い、電子レンジも冷凍庫もすでにあるコンビニは多く、追加設備を必要とすることもないだろうし。
丁寧な回答をしていただいた日本ケンタッキー・フライド・チキンの広報室担当者の方、そして転送してくださったピザハット担当の方、誠にありがとうございました
※追記:
「宅配のバイクは騒音が大きい。深夜に走られると困る」という意見をいただきました。店側の「深夜のニーズが無い」には、間接的ではありますが宅配時の問題も考慮されていると考えてよいでしょう。
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