若年層での「非正規」から「正社員」は男性41.0%、女性15.7%

2010/03/19 05:10

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ステップアップイメージ厚生労働省は2010年3月17日、第7回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概要を発表した。そのデータによると、2002年時点で非正規雇用状態だった人が、2008年の調査の際に正社員として雇用されていた割合は、男性で41.0%・女性で15.7%であることが分かった。男女とも年齢が上なほど非正規雇用状態を維持している人が多く、また女性は男性より「仕事なし」の割合が高い傾向にある(【発表リリース】)。



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今調査は2002年時点で20-34歳だった男女に対し、それ以降継続して同一人物・配偶者を対象に毎年行っているもので、今回発表されたのは第7回調査の結果(2008年11月5日実施、26-40歳)。調査方式は調査員があらかじめ配布した調査票に被調査者が自ら記入し、密封したものを後日調査員が回収する方法。引越をしている場合は、厚生労働省から郵送された調査票に被調査者が自ら記入し、郵送により厚生労働省に提出する方法により行った。今回調査における調査票回収数は1万5337件。

非正規雇用の問題は【25歳未満の非正規雇用率は72%に急増中、ただし……】【正規雇用者・契約社員や派遣社員・パートやアルバイトなどの割合の推移】など、これまで多数の機会を設けて記事を展開してきた。しかし「同一人物において、非正規雇用だった人がその後どのような雇用状態を迎えたのか」については、調査されること自体がほとんど無く、今回の事例が(恐らくは)初めての話となる。

同一人物・世帯を対象としている限定的調査のため、年齢階層がやや限られた区分ではあるが、2002年の調査時点で非正規雇用として働いていた人が、2008年にどのような形態で職についているかを示したのが次の図。左側は2002年当時の年齢なので、2008年時点ではそれぞれ26-30歳、31-35歳、36-40歳となる。

↑ 性、年齢階級別にみた第1回調査時に非正規だった者の第7回調査時の就業形態の変化(年齢は第1回当時のもの)
↑ 性、年齢階級別にみた第1回調査時に非正規だった者の第7回調査時の就業形態の変化(年齢は第1回当時のもの)

それぞれの職の具体的内容までは分からないし、個人の希望も多種多様なので、一概に「正規雇用の方が非正規雇用よりも良い就業環境」と断じることはできない。それでもやはり大勢においては「正規雇用>>非正規雇用」という式がなりたつ。

6年間で非正規雇用から
正規雇用になれた人は
男性で41.0%
女性で15.7%。
歳を経るほどその割合は
減少していく。
その点で考えれば、男性の20代前半は5割近くが正社員への道を切り開いた計算になる。一方30代前半ではその6割程度の29.3%。歳を重ねるにつれて正社員へのステップアップが難しくなる現状を示している(もっとも自営業の割合も増えているので、独立をはじめから想定していた人もいるのだろう)。

女性は男性よりも正規雇用・正社員に転じることができた割合は少ない。20代前半は男性の6割程度の比率を保っているが、20代後半になると12.2%、30代前半では9.5%しかおらず、その分非正規雇用のままの人の割合は増加する。

女性で気になるもう一つの点は「仕事なし」の割合が多いこと。結婚の是非の区分はないので「専業主婦のため仕事は無し」の可能性も否定できないが、それにしても男性の2倍強という割合は少々大き過ぎる。やはりこの6年の間に就職難の荒波にもまれ、再就職もかなわない人が特に女性陣には多いのではないだろうか。

ちなみに2002年当時で正規雇用だった人は、男性で82.9%・女性で62.3%が正規雇用状態を維持している。女性の場合は(後に別記事で言及するが)結婚退職の場合もあり、ひとくくりすることは難しいものの、やはり雇用情勢の厳しさをうかがい知れるデータが出ていることを加えておこう。



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