【更新】デパートのマイナス傾向強まり、100円ショップはプラス、アウトレットモールは…小売店の利用動向

2010/03/20 08:00

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100円ショップイメージインターネット調査会社のクロス・マーケティングが2010年2月26日に発表した消費行動に関する調査結果によると、調査母体においては1年前と比較して、36.0%の人が「デパートや百貨店の利用を減らしている」と答えていることが分かった。100円ショップなど低価格・品揃えが豊富な店舗への利用機会がますます増加する一方で、少し前に流行したショッピングモールやアウトレットモールへの利用性向は引き続き減退する傾向を継続している([発表リリース、PDF])。



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今調査は2010年2月8日から9日にかけて、20-69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1200人。年齢階層比は20代-60代でほぼ均等割り当て、男女比は1対1。なお今調査は2009年2月から3か月毎に実施されており、今回が5回目となる。当サイトでは同様の視点で前回のデータについて【デパートマイナス、100円ショッププラス、それではアウトレットモールは? 小売店の利用動向】で考察を行っている。

当サイトではコンビニやデパートなど主要小売業の業界単位での月次業績を、定期的にレポートしている(【一覧ページ】)。これらのレポートを読み解く限り、小売業はいずれも厳しい状況が続いていることに違いは無い。そこで今調査結果の「1年前と比較した商品購入・サービス利用の増減」のうち、小売系の項目を抽出してまとめてみたところ、各業界の状況がよく表れているのが改めて確認できる結果が出た。

↑ 1年前と比較した商品購入・サービス利用の増減(小売系)(2010年2月)
↑ 1年前と比較した商品購入・サービス利用の増減(小売系)(2010年2月)

全般的に「変わらない」が6-7割を維持している。前回の調査から三か月が経過したが、調査が行われた2002年2月までの一年間、突然好景気から不景気に、またその逆になったわけではない(むしろ事態が悪化している、という表現が合う)。各小売店の利用頻度はそう劇的に変わるはずもない、ということ。その一方、「増えた」「減った」の項目を見ると、店舗種類によって微妙に数字の違いが出ており、各業種の動向が見えてくる。

ぱっと見で気が付くのは「スーパーマーケット」「100円ショップ」の青色部分の多さと、「デパート・百貨店」「ショッピングモール」「アウトレットモール」、そして「コンビニ」の赤部分の多さ。それぞれは「増えた」「減った」を意味するので、前者は躍進・後者は軟調な状態にある。

いつものように、「増えた」から「減った」を引いて算出したDI値をグラフにすると、そのようすがよく分かる。

↑ 1年前と比較した商品購入・サービス利用(小売系)DI値(2010年2月)
↑ 1年前と比較した商品購入・サービス利用(小売系)DI値(2010年2月)

目に留まるのは「デパート・百貨店」のマイナス値の大きさ。三か月前に実施された前回調査のマイナス25.5%と比べさらに値を落としている。大型デパートの統廃合は続いているが、足したり引いたりする以前にもっと根本的な「何か」をすべき状況にあるとすら考えさせられる。

一方、そのデパートや百貨店のライバルとしてよく語られていた(【デパート不調のもう一つの理由・アウトレットモールの魅力を探る】)「アウトレットモール」「ショッピングモール」も、下げ幅は非常に大きい(こちらは前回調査と比べてややマシな値を示しているが)。いずれも旬が過ぎてしまったということ。

プラスを示しているものを見ると、「100円ショップ」と共に「スーパーマーケット」が目に留まる。チェーンストアの売上月次レポートでも、食材系部門は他部門と比べれば比較的堅調な値を示している。今件の数字は「衣料品や住関品などの不調さ」を考慮しない、「とにかくスーパーに足を運んだか否か(つまり食料品「だけ」を買う場合も利用と見なす)」なので、このような値が出たと考えれば合点がいく。チェーンストアの業界月次報告では売上高しか公開されていないが、食料品コーナーの来客数は横ばい、あるいは微増の状態にあると考えて良い。



今後もデフレの継続、あるいはさらなる進行で、価格競争はますます激化していく。本文中では触れなかったが、「コンビニ」もタスポ効果の反動からかマイナス値を示している(前回のマイナス11.2%から今回はマイナス15.0%と悪化している)。

単に「商品が安いだけ」では他の業種・店舗と何ら違いは無く、値を下げた店に行くメリットは無い。現在大きくマイナスを示している業態においては、「その店に足を運ばねばならない何か」を創意工夫で見出だし、客を誘引するポイントを創り出す必要があると考えて良い。まずは来店してもらわねば、売り上げを計上してもらうことはできないのだから。



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