子供達も「新聞離れ」「本離れ」は変わらず、特に新聞で顕著な傾向

2010/03/15 19:30

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子供と新聞イメージベネッセは2010年3月10日、小学生から高校生の学力・学習について調査をした結果「第2回子ども生活実態基本調査」の速報版を発表した。それによると調査母体においては、この5年間で新聞やマンガ、書籍などの紙媒体に触れる機会が減少している傾向にあることが分かった。特に新聞においては顕著な形で結果に出ており、高校生の場合は11.8ポイントも「読む人」の割合を減らしている(【発表ページ】)。



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今調査は2009年8月から10月にかけて小学4年生から高校2年生に対して行われたもの。調査方法は学校通しの質問紙による自記式調査。有効回答数は小学生3561人、中学生3917人、高校生6319人の計1万3797人。2004年11月から12月にかけても同様の調査が実施されており、今回のデータはそれを比較してのもの(5年経年)となる。

【新聞や雑誌の買われ方はこの10年でどのように変化したのか……週刊誌や雑誌、書籍の支出額(追補編)】などで解説しているように、新聞や雑誌などの紙媒体は、購入世帯数そのものが減少する傾向にある。

これに対して一部媒体団体側ではこの時点になって事さらに「家庭や職場ではたらいまわしにして読むから部数以上の公知効果がある(。だから部数が減っても広告効果は変わらないので以下略)」ことを強調している。それではその言は果たして真実味を帯びているのか、購入世帯層では昔も今も、同じような比率・人数でそれらの紙媒体に目を通しているのか。その一端がかいまみれるのが今回の結果。

次のグラフは2004年と2009年において、小中高校生がそれぞれの紙媒体を「良く読む」「時々読む」と回答した人の割合を足したもの。頻度は別として「読者層」「購読比率」のようなものと思えば良い。

↑ 普段マンガや雑誌を読むことがあるか(「よくある」と「ときどきある」の合計)
↑ 普段マンガや雑誌を読むことがあるか(「よくある」と「ときどきある」の合計)

↑ 普段本(マンガや雑誌以外)を読むことがあるか(「よくある」と「ときどきある」の合計)
↑ 普段本(マンガや雑誌以外)を読むことがあるか(「よくある」と「ときどきある」の合計)

↑ 普段新聞を読むことがあるか(「よくある」と「ときどきある」の合計)
↑ 普段新聞を読むことがあるか(「よくある」と「ときどきある」の合計)

さすがに高校生くらいまでは「マンガや雑誌」「本(一般書籍)」「新聞」の順に購読率が低くなる。この傾向は変わらない。むしろ注意すべきなのは、2004年から2009年への変移。

・マンガや雑誌……どの学校層も変わらず数ポイントの減少
・本、書籍……高校生がやや減少。小学生は逆に増えている
・新聞……差異が一番大きい。歳が上がるにつれて差異は広がり、高校生では11.8ポイントもの差が

という傾向が見て取れる。マンガや雑誌、書籍は自分の趣味趣向が多分に混じるものなので、それなりに率が高く、5年の間にも大きな変化はない(小さな減少は生じている)。ところが新聞に限れば、元々積極的に読む子供は少ない上に、(趣味趣向要素が少ないせいか)減少幅が大きく拡大しているのが分かる。

小中高校生の間でも
紙媒体、特に新聞離れが
進んでいる
元々小中高校生にとって新聞は娯楽の対象というより、情報収集のツールという立ち位置が強い。その観点で考えれば、もっと気軽に分かりやすく、しかもスピーディーに情報を集められるインターネットが普及している(同調査別項目ではパソコンの利用頻度について尋ねているが、当然のことながら2009年は2004年と比べて大きく飛躍している)以上、新聞に取って代わりつつあると推測しても何らおかしくはない。

さらに【若者層の新聞離れのトップは「お金がかかるから」、その意見に潜むものは……】【平均586.3曲、大学・専門学校生は4ケタ台! デジタルオーディオプレイヤーの保存曲数】でも解説している通り、昨今は情報を取得するツールは多種多彩に及び、それらをできるだけ多く取り込むべく、若年層は「より便利なツール」「より分かりやすいまとめ」を選ぶ傾向にある。自分の趣向目的で無く、道具として使うのであれば、子供の間でも「新メディアと比べて集約性の低い」新聞が敬遠されるのは言うまでも無い。もちろん「親が新聞を取らないので、読みたくても読めない」という人もいるだろうが。

ともあれ、今調査を読む限りでは小中高校生の間で紙媒体、特に新聞を読む人の割合は、増えるどころか逆に減る傾向があることは明らか。そして文字離れでは無く、インターネットやパソコンなどのデジタルにスライドしている可能性が極めて高い、といえよう。



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