なんでだろう? 「将来つきたい職業がある」高校生が減少傾向に
2010/03/15 07:16
ベネッセは2010年3月10日、小学生から高校生の学力・学習について調査をした結果「第2回子ども生活実態基本調査」の速報版を発表した。それによると調査母体においては、この5年間で特に高校生の間で「将来なりたい職業」の具体像が思い浮かばない生徒が増加する傾向にあることが分かった。一方なりたい職業の上位には、やはり高校生の間において、5年前同様に安定志向的なものが上位を占めている(【発表ページ】)。
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今調査は2009年8月から10月にかけて小学4年生から高校2年生に対して行われたもの。調査方法は学校通しの質問紙による自記式調査。有効回答数は小学生3561人、中学生3917人、高校生6319人の計1万3797人。2004年11月から12月にかけても同様の調査が実施されており、今回のデータはそれを比較してのもの(5年経年)となる。
調査母体に対し「将来具体的になりたい職業があるか」と尋ねたところ、2004年当時の調査結果と比べ2009年時においては、いずれの学校階層でも「ある」と答えた人の割合が少ないことが分かった。
↑ なりたい職業の有無(「ある」と答えた人の割合)
特に中学2年生以降、2004年と比べた時の差異が大きくなり、高校1年生では実に16.4ポイントもの差が開いている。やや持ち直す高校2年生でも15.7ポイント。この開きについて元資料では特に解説はしていないが、次で触れる「具体的な”なりたい職業”」では安定志向的職業が多数を占めることから、将来大人になった自分を具体的に想像できるような歳になるにつれ、「仕事に夢を抱く」子供の割合が5年間で相当減っていることが想像できる。
それでは「ある」と答えた子供は、具体的にどのような職種を選んでいるのか。5年間の差異がもっとも大きい高校生の上位五位のリストが次の図になるが、教育関係の従事者や公務員、医療関係の「先生」など、安定志向的な職業が多数を占めているのが分かる。
↑ 高校生のなりたい職業ベスト5(性別)
掲載は略するが、小学生ではサッカー選手やケーキ屋さん、ゲームクリエイターや漫画家、ペットショップの店員など、いかにも「大人の仕事を夢見る子供達」な感の強い回答があちこちに見える。中学生でもそれなりにそれらの「夢をかなえるための仕事」は残っているが、現実志向的なものが増え、そして高校生になるとこのような結果になる。
もちろん公務員などの安定志向的職種に「夢が無い」と断じているわけではない。ただ、2009年における(2004年と比較して、そして2009年における「学年が上がるにつれて」の双方で)「なりたい職業の有無」の減少の傾向と、安定志向的職種の増加を見ると、「自分が抱いた夢をかなえる職業に就く・就きたい」と考える子供が減り、「雇用で苦労したくない」という現実・安定思考の子供が増えたのではないかという感はある。あるいはその「安定志向」すらイメージ出来ないがための結果ともいえる。
これもまた、昨今の景気・雇用状況を反映しての結果なのだろう。
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