高校生から小中学生へ……5年で大きく浸透する携帯電話

2010/03/14 09:07

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携帯電話利用イメージベネッセは2010年3月10日、小学生から高校生の学力・学習について調査をした結果「第2回子ども生活実態基本調査」の速報版を発表した。それによると調査母体においては、この5年間で特に小中学生において携帯電話の保有率、及び保有者の利用機会が増加する傾向にあることが改めて確認できた。一方で高校生は小中学生ほどの変移を見せておらず、携帯電話の子供への浸透が高校生から小中学生に広がりつつあるようすが分かる(【発表ページ】)。



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今調査は2009年8月から10月にかけて小学4年生から高校2年生に対して行われたもの。調査方法は学校通しの質問紙による自記式調査。有効回答数は小学生3561人、中学生3917人、高校生6319人の計1万3797人。2004年11月から12月にかけても同様の調査が実施されており、今回のデータはそれを比較してのもの(5年経年)となる。

子供の携帯電話普及率とその利用状況については【小学生 ケータイ保有は 3割強 大人と同じ 機種は6割】をはじめ複数の調査機関が報告をしている。今調査では類似条件下において5年間の変移を見られる、非常に興味深い結果である。保有率と、保有者の利用状況(1日1回以上利用する人の割合)をグラフ化したのが次の図。まず小学生だが、普及率は10ポイント近い増加。そして主要の使い道・使い先すべてにおいて、利用率が上昇する傾向にある。

↑ 携帯電話の使用状況(利用状況は持っている人ベース)(小学生)
↑ 携帯電話の使用状況(利用状況は持っている人ベース)(小学生)

家族宛ての割合が多く、しかもメールより電話の方が多いのは、【携帯への賛否両論・子どもに携帯を持たせる理由、持たせない理由】などで解説しているように、防犯目的で携帯電話を持たせる保護者が増えたのが最大要因。また、普及率の向上と共に連絡相手が増えたことで、対友達の利用率も上昇している。

これが中学生になると様相が一変する。

↑ 携帯電話の使用状況(利用状況は持っている人ベース)(中学生)
↑ 携帯電話の使用状況(利用状況は持っている人ベース)(中学生)

小学生と比べた場合、対家族の連絡は特に通話部門で大きく減少(それでも5年の間に増加はしている)、代わりに対友達との利用が大きく伸びている。特に友達へのメールが小学生時分と比べてほぼ2倍に増加しているが、これは【小学生のケータイ連絡、親へは通話・友達へはメールで】などにもあるように、「友達とのケータイ経由のコミュニケーションはメールで」というスタイルが浸透しているから(通話では気恥ずかしい、相手の事情を配慮できないのも要因か)。

高校生になると保有率そのものが10割近くになる。

↑ 携帯電話の使用状況(利用状況は持っている人ベース)(高校生)
↑ 携帯電話の使用状況(利用状況は持っている人ベース)(高校生)

利用率は元々高い割合を示しており、5年の間にも伸び率はほんの少し。中学生と比較すると、若干対家族及び友達の電話が減り、メールが増えたくらいか。ともあれ、携帯電話を使ったコミュニケーションとしては、「対家族……電話もメールも同じくらい」「対友達……小学生は電話もメールも同じ、中学生以降はメール主流」というところだ。

見方を変えてみる
せっかくなのでデータの見方を変えてグラフを再構築してみよう。具体的には対家族・対友達それぞれで、学校属性別の変移を見たものだ。

↑ 携帯電話の使用状況(対家族、持っている人ベース)
↑ 携帯電話の使用状況(対家族、持っている人ベース)

家族に対する携帯電話の利用状況は、基本的に電話もメールも(2004年の小学生以外は)大きな違いは無く、しか学校属性における差異もほとんど見られないことが分かる。一方、5年間の変移では10ポイント近い伸びを示している項目がほとんどで、携帯電話の利用性向そのものが高まっているのが分かる。

↑ 携帯電話の使用状況(対友達、持っている人ベース)
↑ 携帯電話の使用状況(対友達、持っている人ベース)

友達に対する利用状況は、この5年間ではさほど変わらない。学校属性別で見ると、小学生から中学生の過程で大きく変移する様子が改めて確認できる。やはり上でも触れているように、ある程度友達間でも携帯電話が普及し、意思疎通がしやすくなる(コミュニケーションツールとしての便宜性が高まる)からだろう。


子供の携帯電話保有については賛否両論で、フィルタリングや防犯面など、多種多様な方面を巻き込んで論議が絶えない。ただ一つだけいえるのは、今調査でも明確化しているように、子供達の間に深く浸透していること。大人たちはそれを見据えた上で、論議を交わし、適切な対応策を検討する必要がある。当事者を置いてけぼりにした利害関係の衝突など、愚の骨頂にしか過ぎないことを忘れてはならない。



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