【更新】赤字に転落した日経新聞の2009年12月期決算短信

2010/03/10 05:21

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日本経済新聞社イメージ【テレビ東京(9411)】は2010年3月9日、同社の親会社である日本経済新聞社の2009年12月期連結決算を発表した。それによると同連結決算は【赤字に転落した日経新聞の2009年12月期中間連結決算】でお伝えした中間期決算から事態を好転させることはできず、コスト削減でも広告収入の落ち込みをまかない切れずに最終純損益はマイナス132億1600万円円となり、昨年の48億8200万円から大幅に悪化したことが分かった。リリースによると最終赤字への転落は2000年12月期の連結業績開示後初めての事態とのこと([発表リリース、PDF])。



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日経新聞社は非上場企業のため、上場企業の決算短信と比べると(業績予想が無いなど)解説が簡易のものとなっているが、それでも多くのデータが公開されている。今回発表された2009年12月期決算連結業績を、昨年同期の値と比較してグラフ化すると次のようになる。

↑ 日本経済新聞社・連結業績(億円)
↑ 日本経済新聞社・連結業績(億円)

本業の損得を示す「営業利益」の時点ですでに赤字を出しており、その他の利益がプラスマイナスされた経常利益でもそれを覆すことができず、税金などを加えた純利益部分は大きく赤字を増やしてしまっている。この構造は中間決算期から変わっておらず、半年の間の体質変化による成果は数字には現れなかったことになる。日経新聞は大手新聞5社(日経、読売、朝日、毎日、産経)の中では唯一財務状態が比較的安定していることで知られていたが、今回営業利益で(つまり本業で)赤字を計上しており、お財布事情は他社とあまり変わらなくなってきたことが確認できる。「日本経済のクオリティーペーパー」ともうたわれた日経新聞も、新聞業界そのものの不調の波には勝てなかったわけだ。

今回の業績について短信では

売上高は、新聞広告収入の落ち込みで新聞事業が大幅に減収となったほか、全ての事業で減収となり全体で4期連続の減収に。営業利益他の各利益は、コスト削減や人件費抑制が売上高の減を補えず、連結財務諸表開示後初の赤字。

と説明している。詳細データは公開されていないが、広告収入だけでなく新聞そのものの販売収入も含めた全事業で減収であることが語られている。また、財務諸表から本業部分の売上・費用を抽出し、前年同期比でグラフ化すると、

↑ 日経新聞社の2009年12月期基幹事業の業績(2009年12月期決算短信における前年比)
↑ 日経新聞社の2009年12月期基幹事業の業績(2009年12月期決算短信における前年比)

という形になり、売上高の大幅な減少に対して、販売管理費(人件費など)の涙ぐましい努力と決断を断行したことが分かる。しかし売上原価には販売の際のロス(売れ残りなど)もあり、大きな削減は望めず、結果として赤字額を大きくしてしまったことになる。ちなみに同様のグラフを「連結」の損益計算書から作成すると、

↑ 日経新聞社の2009年12月期業績(2009年12月期決算短信内連結損益計算書における前年比)
↑ 日経新聞社の2009年12月期業績(2009年12月期決算短信内連結損益計算書における前年比)

という形になり、新聞事業以外も含めた日本経済新聞社全体では、人件費の削減自身も売り上げ減少のスピードに追い付いていないことが確認できる。

果たして今回の業績内容は「新聞業界という業界内において、日経新聞社が他新聞社に追いついた」のか、それとも「これでも日経新聞社は奮闘している方で、他社はもっと大変な状況なのか」は、今後の各社決算短信の発表によって明らかになることだろう。



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