2019年以降に耐震診断をした持家住宅は12.0%、関東や大地震で影響を受けた地域、地震リスク地域で高め(最新)
2025/03/12 02:52


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全体では11.1%…2019年以降の耐震診断経験
今調査の調査要綱は先行記事【住宅の空き家率は13.8%で過去最高に(最新)】を参照のこと。
次に示すのは建て方別における持家の、2019年以降における耐震診断の有無を尋ねた結果。全体では12.0%が耐震診断をしたと答え、そのうち11.1%は耐震性の確保が確認でき、0.9%は耐震性の確保ができておらず、要補強の判定が下されたとの結果が出ている。

↑ 2019年以降における住宅の耐震診断の有無別持家数比率(住宅の建て方別)(2023年)
注意をしてほしいのは、「2019年以降に耐震診断をしていない」イコール「耐震性能を持たない住宅」ではないこと。建築当初から耐震補強・性能を持つ住宅もあれば、診断を受けずに補強工事をした場合もある。また、2018年以前にすでに耐震診断を受け、あるいはその結果から補強を行い、再度診断の必要は無しの状態の住宅もある。
種類別に見ると、やはり共同住宅の診断率が高い。管理会社によるサービスの一環としての実施で行われる場合もあれば、一部居住者が不安を抱き診断を希望した場合、住宅全体が診断対象となるのが原因だろう。
都道府県別、居住者別、建築時期別に確認
これをいくつかの属性別に振り分けて確認していくことにする。まずは対象となる持家の建築時期別。

↑ 2019年以降における住宅の耐震診断の有無別持家数比率(住宅の建築時期別)(2023年)
今回の問いは2019年以降(調査年の2023年まで)に耐震診断を行ったか否かとの問いとなっている。2018年までの建築住宅は、それ以前に耐震診断をしていた可能性が高く、それ以降改めて診断をする判断に迫られる人はさほど多くない。そのため、2019年以降と2018年までとの間には大きな差異が生じている。
それでも2019年以降の建築時期の持家に限っても、診断率は3割から5割足らずにとどまっている。結果として耐震性が十分でないとの結果が出た住宅は1%ぐらい。問題を抱えているとの状況が判明しただけでもよしとすべきだろう。2019年以降の建築時期の持家において耐震診断をしていない残りの5割前後の住宅が、すでに十分な耐震強度を持っていることを願わずにはいられない。
続いて居住者の構成別。特に高齢者にスポットを当てた区分にしている。

↑ 2019年以降における住宅の耐震診断の有無別持家数比率(居住世帯構成別)(2023年)
高齢者が住む持家の方が概して診断率は低い。すでに十分な耐震性が確保されているから診断の必要性が無いのか、それとも診断をする余裕が無いのかまでは今調査からは判断できないのが残念。ただし「耐震診断・耐震性非確保」の回答率が全体と比べて高めに出ている状況を見るに、多分に高齢者が住んでいる住宅は経年劣化が進んでおり、耐震性に問題がある場合が多いことが推測される。地震時のリスクは高齢者の方が高いことを合わせて考えると、大いに問題視されるべき結果ではある。
最後は都道府県別の数字を算出し、上位陣・下位陣の地域を抽出したもの。

↑ 2019年以降における住宅の耐震診断の有無別持家数比率(耐震診断をした住宅の比率、上位陣・下位陣、都道府県別)(2023年)
住宅の新陳代謝が激しい東京都をはじめ、先の震災で大きな被害を受けた地域、さらには震災を受けて大規模地震の発生リスクが高いとされる地域で高い値が生じている。なお熊本県で高値が出ているのは、2016年に発生した熊本地震によるところが大きいと考えてよいだろう。
一方で低めの値が出ているのは、西日本を中心とした地震リスクが低い地域が多分を占めている。これも地震に対する意識によるところなのだろう。
本文中でも触れているが、今件はあくまでも2019年以降における診断率であり、その値の高さがそのまま耐震性のある住宅普及率の高さにつながるわけではない。しかし耐震診断率の高さは、地震に対する意識や耐震性住宅普及率を底上げする要素となっているのも事実。持家に住み、耐震性の保証が元々なく、あるいは過去に行ったものの現状に関して気になる人は、まずは公的な補助制度があるか否かについて、役所などに相談してみてはいかがだろうか。
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