出勤時はエキナカ、帰宅時は駅ビルのデパート……駅周辺のお店の利用傾向の違いを探る
2010/03/07 08:48
【JR東日本(9020)】のグループ会社ジェイアール東日本企画は2010年3月4日、首都圏の駅消費実態に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、平日の「エキナカ」での買い物は朝方が多い傾向があり、一方で駅ビルなどの改札外の施設は夜に集中する傾向があることが分かった。朝食や会社での昼食、その他備品をエキナカで調達し、帰宅途中は駅ビルなどで買物をするライフスタイルがすけて見える。特にキヨスクや駅内コンビニなどでの購買は朝に多数の人が利用する傾向が確認できる。
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今調査は2009年7月1日から7日にかけて、東京駅30キロ圏の市区町村在住の18-49歳男女(高校生を除く)に対してインターネット経由で日記形式にて行われたもの。不動産、車などの大型消費、金融商品、医療費、交通費、生活固定費などは調査対象外とし、日常的な生活様式内での行動に限った回答をしてもらっている。サンプル数は2750人。具体的な年齢階層比・男女比は非公開だが、2005年度の国勢調査の人口構成比に合わせて性年代・移住地を割り付けている。買い物件数の合計は3万1091件。
平日におけるエキナカ(駅ナカ、改札内の店舗)、あるいは駅ビルなど改札外の施設の利用場所とその時間帯について尋ねたところ、エキナカを利用した件数全体のうち、朝の時間帯の利用がもっとも多く39.7%を占めていた。一方で駅ビルなどの利用件数では件数全体のうち夜(18-22時)において最多の32.8%の値が確認出来た(全体の、ではなくそれぞれの施設における時間区分であることに注意)。
↑ エキナカや改札外の駅施設を使う時間帯(※各買い物地点における時間別件数区分)(平日ベース)
冒頭でも触れたが、これらの利用頻度傾向から、「エキナカを使う場合は朝食をとったり、会社での朝食・昼食の買物をする。あるいは新聞や雑誌、必要な備品などを調達する」「駅ビルを使う場合は主に夕方、会社からの帰宅時には駅ビルなどの店舗に立ちより、夕食や自宅で必要な備品(例えばトイレットペーパーなど)を購入する」というライフスタイルが見て取れる。出社時に自宅に持ち帰る商品を購入しても会社での置き場所が無いし、そもそも出社時には駅ビル店舗はまだ開店していない場合がほとんどだからだ。
これを小物アイテムを主に取り扱う駅売店やコンビニに限定し、その立地条件別にみると、さらに朝から昼にかけての細かい行動パターンが見えてくる。
↑ 立地別・駅売店やコンビニを使う時間帯(※各買い物地点における時間別件数区分)(平日ベース)
コンビニやキヨスクは
朝の通勤時に多用される。
それ以外のコンビニは
昼食の調達時に多用される。
他方コンビニは駅から離れるほど、お昼に使われる場合が高くなる。これはひとえに「お昼ご飯の調達」が主要因。都内の調査であるとはいえ、会社周辺のコンビニが駅から5分以内にあるとは限らない。むしろ5分以上かかる方が多いだろう。
他方、通勤時にはまだ閉まっていることが多い駅ビル店舗や、駅施設とは直接関係の無い百貨店、総合大型スーパーは午後の利用がメインとなる。
↑ 業態別・小売店を使う時間帯(平日ベース)
興味深いのは、「駅ビル」と、「百貨店」「総合大型スーパー」のピーク時に、ややずれが見えること。後者は「14時-18時」と「18時-22時」にピークが訪れるのに対し、前者は「18時-22時」に集中している。言い換えれば、
・「駅ビル」……日が暮れてから
というところ。家計を預かる主婦層は昼過ぎから「百貨店」「総合大型スーパー」を使うが、わざわざ駅ビルまで足を運ばない。一方で仕事をしている人たちは会社を抜け出すわけにもいかない。そして冒頭でも触れたように働き人たちは帰社途中に駅ビルに寄り、夕食などを買い求めるため、日が暮れてからの時間帯にもっとも「駅ビル」の利用率が高い結果となる。
これらのデータを見ると、少なくとも東京都内で鉄道を使い通勤している人たちの平日は、「出社時はエキナカ」「帰宅時は駅ビル」と利用商業施設を使い分けているものの、駅内部とその周辺で形成された商業地帯に大きく依存していることが分かる。特に朝方のエキナカや駅周辺のコンビニの売れ行きは特徴的。
また、お弁当周りのセールスが軟調な一方でタスポ効果が一巡し、次なるかさ上げアイテムを模索しているコンビニエンスストア、販売スタイルそのものの再構築すら求められている百貨店、そして総合大型スーパーそれぞれの、「上手な駅との関わり合い方」もおぼろげながら見えてくる。
もちろん今データは東京駅30キロ圏という限られた地域でのものなので、近郊地域、都心部から離れた地域ではその場所その場所の特性と向き合う必要がある。とはいえ、駅が果たす役割は決して小さいものでは無いのもまた事実。多くの商業施設業態に向けた、有益な情報であるはずだ。
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