ロシアの伝統工芸を取り入れたマクドナルドのプロモーション
2010/03/07 08:50
カナダのバンクーバーで先日まで行われていた冬季オリンピックでは、世界各地の選手団が同地域に集まり、様々な文化交流も行われた。当然、その地でビジネスを展開しているお店もここぞとばかりに、各国の選手団に向けた宣伝やアプローチをかけている。選手団員数そのものは少数だが、彼ら・彼女らが祖国に帰った後の口コミ力は決して小さなものではないし、選手団へのプロモーション手法次第では「それ自身」が喧伝され、効果の高い宣伝活動となるからだ。今回紹介するマクドナルドの宣伝方法もその一つで、地の利を活かしてロシアの伝統工芸を自社商品に取り入れ、大きなインパクトを与えたものである(I Believe in Advertising)。
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↑ ロシアの「マトリョーシカ人形」を模したサービス
バンクーバーオリンピックではロシアの選手団の拠点は、偶然にもマクドナルドのフラグシップ店と通りを挟んで相対する場所にあった。当然多くの選手団、関係者が利用することになる。マクドナルド側では彼ら・彼女らを歓待するために、今回の「マトリョーシカパッケージによる無料サービス券の配布」を行った。
「マトリョーシカ人形」とはロシアの木彫りで出来た人形で、胴体部分で上下に分割でき、中には少し小さな人形が入っているというもの。これが何回も繰り返される入れ子構造になっているのが特徴で、ロシアの民芸品、土産物として知られている。
このビッグマックのパッケージだが、幾重にも重なって内側に配される箱を順番に開けていくと、最後に出てくるのはキリル文字(ロシアの文字)で説明書きがされている、ビッグマックの無料クーポン券。これを手にした人は、ロシアの「マトリョーシカ人形」を想い起し、そして最後に「お宝」を手に入れるという仕組み。
「マトリョーシカ式無料クーポン券」は100セット用意され、同店舗に来訪したロシア選手団関係者の「持ち帰りオーダー」の中に同梱させたり、ロシア選手団の施設内で配られたという。
セットを買って、注文した覚えの無いパッケージが入っていることに気がついたロシア選手団関係者は、「何かな、これ」とばかりに一番外側の箱を開けるだろう。すると中には少々小さめの箱。クスッとばかりに微笑みながらパッケージを次々に開けていく中で、自国の「マトリョーシカ人形」を想い起していく。最後に出てきた無料クーポン券を手にしながら、マクドナルドが自分らを歓待していることに改めて気が付くに違いない。手間はかかるが、単に無料クーポン券を配布するより、何倍も何十倍も、彼ら・彼女ら一人ひとりの記憶に刻まれることだろう。
他国向けへの応用は難しいのが残念だが、ちょっと粋なプロモーションとして、微笑ましささえ感じてしまう手法といえよう。
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