6割が「新聞取ってるならオンライン版は無料で見せてよ」…オンラインコンテンツの有料化への思い

2010/03/08 06:52

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新聞と決済イメージアメリカ系調査会社のニールセン・カンパニーは2010年3月4日、有料オンライン・コンテンツの世界消費者動向調査の結果を発表した。その概要は先に【「質が良ければお金を払ってもいいかナ」トップは映画、次いで電子書籍】でお伝えした通りだが、そのデータには昨今の日本国内におけるメディアの動きと浅からぬ関係にある・参考になる設問が盛り込まれていた。今回はその部分にスポットライトを当ててみることにする(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は世界54か国(欧州・アジア太平洋地域・中東及びアフリカ・南米・北米)の約2万7000人のインターネットユーザーを対象に2009年9月末から10月中旬に実施された。国別の具体的調査人数やその環境、男女比、年齢階層比などは非公開。

「参考になる設問」とは具体的には「図2」の「オンライン・コンテンツの有料化に関する世界消費者動向調査」を指す。以前【日経新聞、完全収録な「電子版日本経済新聞(Web刊)」創刊へ・Web版のみは月4000円】で解説したように、日本でも五大全国紙(日経、読売、毎日、朝日、産経(順不同))でついに「ネット配信の公式ページを有料課金化する」動きが始まっている。そこで、特に新聞の公式サイトの「お財布事情」と深い関係がありそうな設問を5つほど抽出し、世界全体、日本、そして新聞サイトの有料化問題では色々な意味で先行しているアメリカのデータを併記したのが次の図。

↑ オンライン・コンテンツの有料化に関する世界消費者動向調査(一部抜粋)
↑ オンライン・コンテンツの有料化に関する世界消費者動向調査(一部抜粋)

まず日本の部分だけを見ると、「新聞取ってるならオンラインの有料版は無料で見せるべきだ」という意見が6割。日経の場合は大きく割り引いてくれるものの、無料ではない。しかも規制があり、その規制を超えると別途課金。そのような仕組みは好ましくないという考えが過半数を占めるといことか。

「新聞取ってるなら
オンライン版は無料にすべき」
日本で6割、北米で8割
世界平均でも8割近く
無料版を継続する他新聞社にとっては、広告数の増大は一番容易な「収益増加期待」策(ウェブの技術論からいえば、現実はそれほど甘くないのだか)。それを容認する人は44%と半数近く。逆に「有料なら広告はナシにして」という意見は42%。いずれも半数近くと微妙な値ではある。

「課金システムが簡単なら有料コンテンツを使ってもいいかナ」と考えている人は31%と比較的少数派。ただし逆に考えれば、3割強の人が現行課金システムを高いハードルであると思っているということでもある。さらに支払いに関して「月々何千円」といスタイルでは無く「1記事(あるいは一日分)読むごとに数円、数十円」のような、個別情報毎の課金を好む人は38%と4割近くに達している。

これを世界全体やアメリカと比べると、日本は「無料コンテンツの広告増加」以外ではほぼすべての項目で低い値にあることが分かる。項目と照らし合わせると日本は世界平均やアメリカと比べ、「実際の新聞にはさほど興味は無く、広告に対しても比較的寛容」な雰囲気を感じることができる。



これらの結果を日経の有料電子版の現行設定と比較すると「正直、難しいかな?」という感は否めない。何よりアメリカや世界全体と比べればまだ低めだが、6割の人が「無料にしてほしい」という条件下で1000円を求めているのが痛い。

携帯電話などは
「通信」「表示」「決済」を
すべて1つの端末に
初めから備えている
また、有料コンテンツ配信全体で考えた場合に大きな問題となる「課金システム」については、「容易に使えること」「細かい決済が可能な事(それが出来れば「個別情報の安価での切り売り」ができる)」がポイントであることも分かる。

この点においては、携帯電話(を含めた決済機能付きモバイル情報端末)が非常に良いポジションにいることが分かる。高機能な表示能力を持ち、端末個体を特定でき、少額決済も可能。「通信」「表示」「決済」の3機能がすべて1端末に集約されているわけだ。通常の支払いが「ファミリーレストランでお寿司セットを頼む」のなら、携帯電話での支払いは「カウンター席のあるお寿司屋で単品を頼む」ような感じの支払い・利用となる。これは非常に大きな強みといえる。

【若者層の新聞離れのトップは「お金がかかるから」、その意見に潜むものは……】でも触れたように、若年層は氾濫する情報の中において厳しい目で情報を見極め、効率よく「好きな情報をつまみ食い」してお腹を満たしたい傾向がある。新聞という旧スタイルのメディアを若年層向けに転じるのなら、モバイル情報端末への配信・個別決済システムの導入は検討すべきスタイルといえよう。



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