e-taxを利用しない理由、トップは28.2%で「事前手続きが面倒」・費用も大きなネック
2010/03/02 07:08
楽天リサーチは2010年2月22日、確定申告に関するインターネット調査の結果を発表した。それによると調査母体のうちe-tax(国税電子申告・納税システム)を知っているにも関わらず、(窓口申告ではなく)そのシステムで申告しなかった人において、e-taxを使わなかった理由としては「利用するまでの事前の手続きが面倒」を挙げる人がもっとも多く28.2%に達していた。ただでさえ面倒な確定申告で、さらに頭痛のタネを増やしたくはない、ということだろうか。また、お金に関する書類作成ということもあり、「費用がかかる」項目が上位についているのも確認できる(『発表リリース』)。
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今調査は2010年1月21日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。20代から60代の確定申告経験者、あるいは今年確定申告をする人を対象としており、男女比は1対1、年齢階層比は10歳区切りで均等割り当て。
今年e-taxを使って申告「しない」人のうち、e-taxで申告可能なことを知っていた人511人に対し、「知っているのにどうしてe-taxを使わないのか」について尋ねたところ、もっとも多い回答は「利用するまでの事前の手続きが面倒」だった。28.2%と、10人中3人近くまでが同意を示している。
↑ e-taxを利用しない理由(択一)(「e-taxで申告」せず、「e-taxを知っていた」人限定)
冒頭でも触れたが、ただでさえ手間がかかる確定申告において、一度きりとはいえ利用を開始するまでの事前手続きに面倒くささを覚える人が非常に多い、それが導入のハードルとなっていることが分かる。
次いで多いのは「ICカードリーダライターの入手に費用がかかる」「電子証明書の取得に費用がかかる」と、「費用」を気にする意見が相次いでいる。それぞれの手段の導入への手間と比べてかなり高い値になってはいるが、【e-tax 使わぬ理由を尋ねたら 「面倒だから」と「ICカードの費用が問題」】や【住民基本台帳カードを作ろう】にもあるように、それぞれ費用は数百円から数千円で済むレベルのもの。しかも今年申告分(2009年の分)までは、e-taxを使うと所得税額から最高5000円の控除が可能となるお得な制度も導入されている(一度きり。毎年では無い)。税務署まで出かける手間と交通費を考えれば、費用云々はあまり理由にならないはずなのだが。
●費用に対する反発は強い
「ICカードリーダライタ」と「電子証明書」に関する項目を抽出し、性別・年齢階層別に回答率をグラフ化したのが次の図。ほとんどの階層で「面倒、分からない」よりも単純に「費用がかかるのがイヤ」という意見なことが分かる。
↑ e-taxを利用しない理由(性別・年齢階層別)(電子証明書関係)(「e-taxで申告」せず、「e-taxを知っていた」人限定)
↑ e-taxを利用しない理由(性別・年齢階層別)(ICカードリーダーライタ関係)(「e-taxで申告」せず、「e-taxを知っていた」人限定)
【住民基本台帳カードを作ろう】でも触れているが、電子証明書の作成にはそれなりの手間がかかる。多忙な人には中々作成できないかもしれない。また、作成の仕方が分からない人も多いだろう。にも関わらず「手間がかかる・作り方が分からない」人よりも、「費用がかかる」人の方が多い階層がほとんど。
「ICカードリーダライター」にいたっては全階層で、しかも「手間がかかる・作り方が分からない」人の数倍に渡る人が「費用がかかるのはイヤだ」と回答している。特に若年層に拒否反応が強いようで、「手間がかかる・分からない」と比べて10倍前後の値を示している。
確かに現時点では「ICカードリーダライター」を使う機会など確定申告の時くらいで、「1年に1度きりしか使わない機械に、例え数千円でも出すのは惜しい」という主張は理解できる。しかし「その数千円の出費で、何年にも渡って数千円、それ以上の額の還付金を手に入れる機会が与えられる」と考えれば、費用におけるデメリットは考えなくても良くなる気もするのだが、どうだろうか。
……もっとも若年層の場合、数千円の還付金割増を得られるほど、経費を計上したり収入を得ていないのも事実ではある。だからこそ汎用性の極めて低い「ICカードリーダライター」の費用に過敏なのかもしれない。
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