49.5%は「非正規社員になりたくない」、「でも自分もなるかも」は29.4%…募る新成人の非正規就労への不安
2010/02/26 05:14
結婚情報サービス「O-net」を運営する楽天グループのオーネットは2010年2月16日、2010年に成人を迎える新成人に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、いわゆる「非正規就労」に就きたくない人が49.5%に達していることが分かった。一方で「自分もなるかもしれない」という不安を抱いている人は29.4%を数えており、厳しい現実をある程度認識していることが分かる。一方で直近6年間の推移をみると、非正規就労問題そのもの・それが他人事ではない状況の認識は深まっているものの、「なりたくない」人の割合は減少傾向にあり、受け入れざるを得ない現状を認めているようすもうかがえる(【発表リリース】)。
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今調査は楽天リサーチを使ったインターネット経由でクローズ調査として行われたもので、調査期間は2009年12月18日から21日。対象は2010年に新成人となる(1989年4月2日-1990年4月1日生まれ)の未婚男性・未婚女性で、総数は800人。男女比は1対1。なお回答者母体は全員学生である。
非正規就労(資料にはフリーターと契約社員が該当するとあるが、事実上派遣社員もこれに加わるのだろう)に対する考え方について、それぞれ当てはまるか否かを尋ねた結果が次のグラフ。自分は非正規就労はしたくないという人が49.5%に達している。
↑ 非正規就労(フリーター・契約社員)について
また、非正規就労の増加で日本の将来を心配している人も4割を超えている。一方で「自分に派まったく関係がない」と断じる人は6.4%しかおらず、危機感の一端が現れているともいえる。
これだけを見ると(「なりたくない」が半数割れしているのには少々首を傾げるが)非正規就労問題に新成人も大きな懸念を持っているように見える。しかし次の経年変化グラフに目を通すと、少々見方が変わってくる。
↑ 非正規就労(フリーター・契約社員)について(2005年-2010年)
まず最初に気がつくのは、大きな動きが2006-2007年に起きていること。直近の景気後退は2007年夏以降の話だが、就職に関する不安感はその前年、2006年あたりから本格化していたことが分かる。
次いで驚くのは「非正規就労にはなりたくない」という意見が、景気悪化と共にむしろ減少していること。数字からだけでは「単に非正規就労が浸透した結果」なのか「現状を見て半ばあきらめたための回答」なのかは判断できない。一方で「非正規就労が増えていることは納得のいく結果」という項目も2006-2008年にかけて急落したのち、ほぼ横ばいが続いており、「納得はしていなしなりたくもないけど、仕方ないのかな……」という新成人の想いが年々大きくなっていることが推測できる。
【非正規雇用者の6割強は「正社員になりたい」】などにもあるように非正規雇用者内でも正規雇用への希望は強い。一方で【ニート・フリーター問題対応策は「自助努力」が最多意見、無職は「わらにもすがりたい思い」】や【ニート・フリーター問題は社会のせい? 自分のせい? 立場で異なる責任所在への意見】などにもあるように、自ら望んだ人以外の非正規就労者に対する考え方は多種多様。まさに「あちらを立てればこちらが立たず」のような問題が生じているのが「非正規就労」に関する問題と言える。
その複雑な事情が、現状と相まって「非正規就労にはなりたくない」と思う新成人の割合を、少しずつ減じさせる要因となっているのかもしれない。もちろんそれが単なる「社会構造の変化への対応」なのか、「うまくいかない世の中に対するあきらめ」なのかまでは、この数字だけでは推し量ることはできない。
一部の大人や声量の大きな人たちの意見だけで話が進んでいるように見える非正規就労問題。大多数を占めるであろう、真の現場関係者である新成人をはじめとした、若年層の意見にもっと(大声をあげている人だけでなく、という意味で)聞き耳を立てるべきなのは言うまでも無い。
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