「就職できるか不安」58.3%・年々増加する新成人の仕事への不安感
2010/02/24 06:58
結婚情報サービス「O-net」を運営する楽天グループのオーネットは2010年2月16日、2010年に成人を迎える新成人に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、昨今の不景気から「自分が職に就けるか不安だ」と感じている人が58.3%に達していることが分かった。【67.0%は「今後の進路が不安」…新成人が抱える不安とは】でも触れていたように、就職について強い不安を抱いていることが分かる。また昨今では就職難の傾向が強まることもあり、「とにかくまずは正社員に」「自分が求める業種で無くとも就職できれば良い」とする考えが強まっているようだ(【発表リリース】)。
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今調査は楽天リサーチを使ったインターネット経由でクローズ調査として行われたもので、調査期間は2009年12月18日から21日。対象は2010年に新成人となる(1989年4月2日-1990年4月1日生まれ)の未婚男性・未婚女性で、総数は800人。男女比は1対1。なお回答者母体は全員学生である。
【大学生の就職内定率は73.1%・前年比7.9ポイントのマイナス】で説明しているように、大学生の就職内定率は大幅に減少し、今世紀に入ってから最低の値を示している。このような不景気・就職難の状況下に置かれていることを十分認識しているせいか、新成人の仕事観も厳しいものがある。調査結果のうち不安感が良く分かる項目などを抜粋したものが次のグラフだが、冒頭でも触れた「就職できるか不安」な人は6割近くに達している。
↑ 具体的仕事観(一部)
一方で「自分のしたい仕事につけるよう、今努力をしている」人は37.9%しかいない。就職への危機感が募りながら、努力をしている人が4割足らずしかいないのは、あきらめ感がまん延しているのか、あるいは努力そのものに関心が薄いのかもしれない。また、「能力主義」への肯定意見が2割強しかおらず、定年退職まで安寧できる(安定志向な)年功制を望む声が強いことが分かる。
これらの値の推移を2005年以降の流れで読むと、次のようになる。
↑ 具体的仕事観変移(一部)
一部項目で問いが無かった年があり、その部分は折れ線グラフそのものかない。就職への不安感は2年分しかないが、2010年は昨年より増加してるのが分かる。また、「仕事に燃えることへの魅力」を感じる人の減少をはじめ、「能力主義への傾倒」「自分の求める仕事への探求」など、社会的意義や努力の成果が得られるシステムなどに対する想いが2007年に大きく減少し、以降は漸減傾向にあることが確認できる。景気後退感は2008年の新成人から影響しているはずだが、就職難の動きとしてはその前年の2007年、一部はさらにさかのぼって2006年あたりから動きが見られたようだ。
一方で「自分のしたい仕事につけるよう、今努力をしている」人の割合も減少傾向にあり、「正規の仕事ならば望む仕事で無くとも妥協する」人は横ばい、直近ではむしろ増加する動きを見せている。
これらの動向をまとめると、
・自分の願望は二の次で、とにかく正社員になりたい。
・安定志向で仕事をしたい。
・仕事に対する熱意にはあまり関心がない。
・就職面でも努力はあまりしたくない。
など「新成人の就職に対する考え方」をイメージすることができる。
一部は新成人自身の資質に負うところもあるだろう。しかし同時にこれらの箇条書き項目を見ると、「自分より上の世代が創ったシステムや、それが引き起こしている現状へのあきらめ」、そして「自分なりに考えた最良の、自分自身を守るための選択(防衛本能)」が思い浮かばれる。
若年層をして「気が抜けた」と揶揄する大人、特に中堅層以降から団塊世代の人たちがいる。しかし「自分たち大人にはその責任は無い」という思いがあるのなら、それは大いに間違っていると評さねばならないだろう。
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