世界の対外債務額上位20国(2010年2月16日更新版)
2010/02/24 07:00
先に【バフェット氏の保有銘柄を評価額順に】でウォーレン・バフェット氏の経営するバークシャー・ハサウェイが保有する株式についてグラフ化した際に、同じCNBCのスライドショーで【The World's Biggest Debtor Nations】のデータが最新のもの(2010年2月16日アップデータ)に更新されていたのに気がついた。先に同データに関する記事を掲載したのは1か月半ほど前(【世界の対外債務国ワースト20】)の話だが、せっかくなので新しいデータでグラフを作りなおしてみることにする。
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元記事の説明にもあるように発行された国債のうち外国が購入したものは、国単位でのやり取りにおける借金となる。たとえ話で解説すると、「Aさんの家庭でお金が足りないから、隣のBさんから5万円を借り受け、その証書を発行する」ようなもの。Aさん・Bさんは別々の国(家庭・家計)なわけだ。顕著な例としては【アメリカ国債(米国債)の購入先】にもあるように最近では米国債は国内でかなりの量が買われているが、それでもなお多くは日本や中国などの諸外国が購入。国単位で考えれば、アメリカに対してお金を貸している計算になる。また今件で取り上げる「対外債務」には国債のやり取り以外に、公債や私企業間などの貸し借りも含まれている。
元資料は国によって取得年数に1、2年の違いがあるものの、経済規模の大きい75か国について基本的に最新のデータを対外債務は【世界銀行(the World Bank)のデータバンク】から、GDPなどは【CIA】から取得。その上で「対外(国)債務のGDP比」のワースト20をランキングしている。さらに今回は同じデータ元(CIA)から日本のデータを抽出し、同じやり方で計算した結果を併記した。
↑ 対外債務GDP比率(2010年2月16日更新データ)
アイルランドがぶっちぎりな状況であることに違いは無い。また、前回の記事と比べると上位20位の構成国は変わりがなく、順位もほぼ同じであることが分かる。さらにほとんどの国で数字が上昇、つまり状況が悪化していることが見て取れる。
「前の記事との比較が面倒くさい」という人のために、前回のグラフの数字と併記したのが次の図。
↑ 対外債務GDP比率(2010年2月16日更新データと前回データとの比較)
データ入力の時点で、多くの国で「対外債務が増加」「GDPが減少」という双方の状況悪化により比率が上昇しているのが確認できた。
特筆すべき動きを見せているのはスウェーデン。前回から対外債務が37%ほど増加しており、これが対外債務GDP比率を大きく引き上げる(194.3%→275.0%)要因となっている。逆にスイスやオーストラリアはわずかだが状況が改善されているのが分かる。
前の記事でも触れたが、アイルランド以外にもフランスなど、意外な国が上位についている。しかしながら例えば、住宅ローンなどでは年収の何倍もの借入額があってもおかしくないのと同様に、その国の財政・政治体制が堅固なものであれば、貸している金主たる他国からとやかく言われることは(あまり) 無い。しっかりと利子も払っていることなのだから。
比較対象としていくつかのグラフを併記しておく。まずは国民一人当たりの対外債務額……といいたいところなのだが、今回のデータ更新ではなぜか国民一人当たりの対外債務額が非掲載となっていた。そこでGDP比や人口割でない、純粋な対外債務総額のみを掲載しておくことにする。こちらも日本の金額はCIAからのもの。
↑ 対外債務総額(兆ドル)(2010年2月16日更新データ)
アメリカが膨大な対外債務(つまり他国からの借り入れ)をしているのが分かる。一方日本も上位についているのが確認できるだろう。アメリカが総額では最上位についているのに、対外債務GDP比率では20位に留まっているのは、対外債務と共に、GDPもまた大きい事を意味する。例えるなら「アメリカ合衆国家では周辺近所に総計1000万円単位の借金をしている。でも家計の年収合計も1000万円くらいはあるし、共働き・子供も働いている」というところか。
ちなみに日本の対外債務総額がそれなりにあるのに、対外債務GDP比率では20位以内に入っていないのは、やはりGDPが大きいから。さらに付け加えて言えば、対外債務がさほど多くない(ように見える)のは、国内債務がその分多いから。
国内の政府対国民・企業という観点で見ればまた別の話だが(国内負債なら、いざとなればプリンティング・マネーや、それもどきをすることでデフォルトは避けられる。無論それを推奨しているわけではない)、少なくとも国同士の貸し借りという点ではこのような順位であることは頭に入れておいてもよいだろう。
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