67.0%は「今後の進路が不安」…新成人が抱える不安とは
2010/02/17 07:14
結婚情報サービス「O-net」を運営する楽天グループのオーネットは2010年2月16日、2010年に成人を迎える新成人に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、今後の進路に不安を抱えている人は67.0%にも達しており、選択肢の「不安要素」の中ではトップについていることが分かった。次いで「自分の今の仕事や勉強」「自分の生き方」などが若年学生らしい回答が上位に並んでいる。また、2007年以降の変移を見ると、経済系の不安要素ではリーマンショック直後の2009年新成人の不安度が一番高く、今年はやや減退している様子がうかがえる。ただし雇用不安が根強い結果も出ているのが気になるところではある(【発表リリース】)。
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今調査は楽天リサーチを使ったインターネット経由でクローズ調査として行われたもので、調査期間は2009年12月18日から21日。対象は2010年に新成人となる(1989年4月2日-1990年4月1日生まれ)の未婚男性・未婚女性で、総数は800人。男女比は1対1。なお回答者母体は全員学生である。
現在抱えている不安を複数回答で選択肢の中から選んでもらったところ、もっとも多くの同意を集めたのは「今後の進路」で67.0%に達した。3人に2人は自分の今後の進路に不安を抱いている。
↑ 2010年新成人が今、抱えている不安(複数回答)
冒頭でも触れたように大学生ならではの不安、さらには「自分の今の仕事や勉強」「自分の生き方」など、経済、特に雇用情勢がかんばしくない昨今を反映した不安を、多くの人が感じているのが確認できる。
これらの不安要素は元々大学生なら多かれ少なかれ持っているものだが、経済状態の悪化が大きな変化要素となることが把握できるのが次のグラフ。不安要素のうち経済に深い関係のありそうな項目の推移を示したものだが、リーマンショック直後の2009年の新成人の値がずば抜けて高くなっているのが分かる。
↑ 新成人が抱えている不安推移(経済系抜粋)
結婚観については【男性66%・女性74%が「個人の自由だから結婚なんてしてもしなくても良い」】で解説しているように中長期的な心境の変移による影響もあるが、短期的には経済に影響されるところが大きいようだ。
少々気になる動きを示しているのが「自分の今の仕事や勉強」。他の項目が2010年は減少しているにも関わらず、この項目だけが大きな伸びを示している。「今後の進路」の減少割合が他の項目と比べると小さめなのと合わせて考えると、結婚や老後といった中長期的な見通しよりも、新成人本人にとって身近な、直近の問題である「進路・仕事」、言い換えれば雇用の面における不安が増加しているのが想像できる。
【大学生の就職内定率は73.1%・前年比7.9ポイントのマイナス】でも示したが、大学卒業予定者の就職内定率は極めて低い値を示している。雇用情勢をかんがみれば、これから年度末にかけて内定率が上乗せされる割合はあまり期待できず、新成人の不安をさらに助長する結果が出ることは想像するに難くない。
そして(特に雇用の)不安増加は個々の心境において、保守的・内向的傾向を助長する要因となる。いわゆる若年層に対する「●●離れ」といったステレオタイプなレッテル貼りが相次いでいるが、単にその行動を批判するよりは、その現象の内に秘める現状を探り、原因がそのレッテルを貼っている側に多分に存在することを認識すべきだろう。
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