新成人が考えるこれからの生活、50.4%は「親より悪くなる」
2010/02/17 07:13
結婚情報サービス「O-net」を運営する楽天グループのオーネットは2010年2月16日、2010年に成人を迎える新成人に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、「今後の生活が親世代と比べると良くなる」と考えている人は16.9%に過ぎず、逆に「悪くなる」という人は50.4%にも達していることが分かった。「より多くのチャンスに恵まれる機会」の項目でも悲観的な考えを持つ人が多数派を占め、悲壮感を抱く新成人が少なくないことを表している(【発表リリース】)。
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今調査は楽天リサーチを使ったインターネット経由でクローズ調査として行われたもので、調査期間は2009年12月18日から21日。対象は2010年に新成人となる(1989年4月2日-1990年4月1日生まれ)の未婚男性・未婚女性で、総数は800人。男女比は1対1。
調査母体に対し「これからどうなるのか」を親世代との比較、さらには自分の子供世代が自分自身の世代と比べてどうなるのかを「よくなる」「かわらない」「悪くなる」の三択で尋ねたところ、「親世代と比べると自分の生活は今後良くなるだろう」とする意見は16.9%に過ぎず、「悪くなるだろう」という意見が過半数の50.4%を占めた。
↑ 2010年新成人が考える「これから」
自分を変え得るチャンスそのものについても、「与えられるチャンスそのものが少なくなるのかな」という不安が楽観を超えているのが分かる。一方、自分自身と自分の子供世代(つまり自分より1つ後の世代)についも、自分と親世代との間ほどではないにせよ、悲観的な意見が楽観論を超える値を示しており、悲観的な考えが強いことがうかがえる。
自分自身と親世代との比較について、2007年以降の動向をDI値(「良くなる」マイナス「悪くなる」で算出。マイナス値が大きいほど悲観的)で示したグラフが次の図。
↑ 新成人が考える、親世代と比べた自世代の景況感推移(DI値(良くなる-悪くなる))
直近で世界的な景気後退の影響を受けた2008年の新成人以降、値は減少を見せ、リーマンショック直後ともいえる2009年は「より多くのチャンスに恵まれる機会」がマイナスに転じてしまう。2010年の新成人は前年と比べてやや状況的には持ち直しているものの、マイナス値は決して低くない。
またリリースにもあるように、「今後の生活が悪くなる」と考える層50.4%は過去最高値を示しており(DI値が2009年よりも高いのは、「よくなる」層がそれなりにいるため)、絶対値として将来を悲観する人が増えていることが想像できる。単に経済的な難局面を迎えているだけでなく、これまで以上に若年層の発言や意思が反映されにくい世の中の仕組みに対する無力感・虚無感、見本とならない立ち振舞いを行う大人たちへの失望感、「親世代は超えられない」という悲痛な叫びが、これらの値に反映されたのだろう。同時にこのような結果(を生み出す状況)は、若年層の保守化・内向志向を助長するものと思われる。
保守化・内向き志向の善し悪しは別として、今後の生活・チャンスに恵まれる機会に対する悲観的な意見の強さは、それより前を歩く親世代にも重大な責任がある。その世代における自分らの我がまま・身勝手ぶりを、しっかりと子供達は見ている。そのことを忘れてはならないといえよう。
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