アメリカの消費者ローンの残高

2010/02/20 08:10

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消費者ローンイメージ先に【カードが減り現金増加傾向!? 米クリスマス商戦におけるクレジットカードの使われ度合い】などで【今週の指標】における分析を元にした、「アメリカの消費者のカードローンに対する考え方が少々変化を見せているゾ」的な話をした。【「借金のワナ」……アメリカ家計の借金の時代推移をかいま見る】【アメリカの家庭内借金事情(改定・増補版)】などで説明しているように、アメリカの消費スタイルはクレジットカードによって支えられているが、それが少しずつ減少し、現金払い、あるいはデビットカードによる支払いが増加しているというのだ。今回はそれを裏付けるもう一つの資料として、消費者信用残高(要は消費者ベースでのローンの残高)の動きをグラフ化してみることにした。



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元のデータとなるのはアメリカ連邦準備理事会(FRB:Federal Reserve Board)の公式サイトで掲載されている、【アメリカ消費者信用残高】。このデータは毎月更新される。時系列データは【こちらにまとめられている】が、ここから「季節調整値(Seasonally adjusted)」を取得しデータ化する。1943年1月から現在に至るまでの値が収められているが、今回利用するのは2000年以降のもの(後で使う可能性があるので、全部のデータを取得し、いつでもグラフ化できる準備はしておく)。

さて、用語において補足しておくと、消費者が借り受けるローンは大きく2つに区分される。一つが「リボルビング・ローン」、もう一つがノンリボルビング・ローン」。それぞれ

「リボルビング・ローン」……定期的に一定額を返済すれば、決められた限度額内(与信限度)で継続的に与信が受けられるもの。何度でも繰り返して借り受けができるので「リボルビング(反復)」と呼ばれている。クレジットカードがメイン。「一定額」のことをミニマムペイメントとも呼ぶ。

「ノンリボルビング・ローン」……通常のローン。自動車ローンや住宅ローン、教育ローンなど。

を意味する。リボルビング・ローンがFRBのデータに収録されているのは1968年以降で、これは「「借金のワナ」……アメリカ家計の借金の時代推移をかいま見る」のグラフにおけるクレジットカードのローン残高の開始時期にほぼ一致する。

さて、取得したデータを元に、今世紀分のものについてグラフ化したのが次の図。サブプライムローンショックで景気が明らかに後退した2007年夏以降もさほど変化の無かったローン残高が、いわゆる「リーマンショック」の2008年秋以降、急激に落ち込んでいるのが確認できる。

↑ アメリカの消費者信用残高推移(単位:億ドル)(2001年1月-2009年12月、季節調整済、FRBより作成)
↑ アメリカの消費者信用残高推移(単位:億ドル)(2001年1月-2009年12月、季節調整済、FRBより作成)

詳しく見ると分かるのだがリーマンショックの2008年9月の直前、2008年8月にはすでに消費者信用残高の前月比がマイナスを見せており、ローンに対するアメリカの人たちの考え方が変化しはじめていることが分かる。それがリーマンショックで追い打ちをかける形となり、消費者信用残高は2008年秋で直近のピークを迎え、あとは緩やかな下り坂を見せる形となっている。

もう少し区分期間を短くし、2005年1月以降のデータで再構築したのが次の図。

↑ アメリカの消費者信用残高推移(単位:億ドル)(2005年1月-2009年12月、季節調整済、FRBより作成)
↑ アメリカの消費者信用残高推移(単位:億ドル)(2005年1月-2009年12月、季節調整済、FRBより作成)

信用残高の減り具合、つまり個人のローンの借入総額ががっつりと減っているのが分かるはずだ。ちなみに2009年12月現在で信用残高総額は11か月連続、リボルビング・ローンにいたっては15か月連続のマイナスを見せている。



先の記事でも触れたように、この数年来の動き(アメリカの人たちがクレジットカードローン離れを起こしている)が一時的なものなのか、それとも中長期的な流れになるのかは、もう少し事態の推移を見守らないと判断がしにくい。仮に後者の動きをとるのなら、景気回復を果たしても(リセッション終了宣言など)、アメリカの消費動向はこれまでとは違ったものとなる可能性は低くない。注意深く事態の推移を見守る必要があるだろう。



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