世界のモバイルユーザーの推移
2010/02/12 05:06
先に【モバイルインターネットの広がりをかいつまんでみる……インドと中国】で携帯電話をはじめとする携帯情報端末の普及スピード著しい新興国、その中でもとりわけスピードが加速化しているインドと中国についての現状をかいま見れる記事を紹介した。その過程で、発行は2009年6月とやや古めだが、モバイル関係の市場調査を世界規模で行っている【Portio Research】による無料の調査・予測レポートを見つけることができた。モバイル関連業界の収益データなどは予測が難しいのであまり参考にはなりそうもないが、モバイルそのものの現状や予測はそれなりに価値のあるデータが盛り込まれている。今回はその中から、モバイル(携帯情報端末)の加入者数推移と直近予想に関するデータを再生成してみることにする。
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元データは【Portio Research Mobile Factbook 2009】。ここからまずは、携帯情報端末の加入者数と直近予想についてグラフを創りなおしたのが次の図。2008年までは確定値、2009年以降は予想値が盛り込まれている。
↑ 携帯情報端末の加入者数と直近予想(Portio Research、2009年6月)(2009年以降は予想値)(%は前年比)(億人)
ここで「複利効果が云々」を詳しく説明するつもりはないが、毎年数%ずつ順調に伸び続けることで、2013年には58億人ものモバイルユーザーが世界を埋め尽くす計算になる。2006年から2012年の6年で約2倍に増加する計算。「ちょっと甘く見過ぎてない?」という意見もあるだろうが、棒グラフの中に記述してある「前年比」が少しずつ減っているのを見れば、それが決して不可能な数字ではないことがお分かりいただけるはず。
さてこのグラフを地区別に区分して積み上げグラフにしたのが次の図。
↑ 携帯情報端末の加入者数と直近予想(Portio Research、2009年6月)(2009年以降は予想値)(地域別)(億人)
せっかくなので各地区別に前年比伸び率も算出してみた。
↑ 携帯情報端末の加入者数と直近予想(前年比)(Portio Research、2009年6月)(2009年以降は予想値)(地域別)
年代が経過していくにつれて伸び率が低下するのはどの地区も変わらない。これは当然のこと。一方で欧州や北米の伸び率が他地区と比べて低いが、これはすでにこの地区では相当数が普及し、普及率そのものが高いからに他ならない。一言でまとめれば「伸びしろが小さいから」ということになる。
アジア太平洋地区は元々の数が多かったこともあり、伸び率の高さと合わせ、経年と共に全体に占める割合も増加。予測値だが2013年には30億人近いモバイルユーザーをかかえることになる。
もちろんこれはあくまでも「携帯電話をはじめとしたモバイルユーザー」数の推移。モバイルユーザーによるインターネット利用者数の推移では無い。先の記事でも説明しているように、多くの携帯電話などではすでにインターネットへのアクセスが可能な機能を持ち、状態を整えている。しかしインフラの整備がまだ不十分で、利用者もインターネットに関する意識啓蒙が不十分なため(+使用料金の問題か)、モバイルユーザー数がそのままインターネットへのアクセス者数につながるわけではない。
とはいえ、それが「ニア・イコール」に一歩ずつ近づいていくのは容易に想像ができる。中国の場合は特殊なインターネット事情があるため、そのまま世界全体のネット事情へ影響を与えるか否か、どのくらいの影響があるのかについて「現時点」ではまったくの未知数。それ以外の国、特にインドにおいては、ポテンシャルは非常に大きいと考えて良いだろう。
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