投信と分配金の関係、ちゃんと理解してる? 全体では51.1%・保有者でも63.4%止まり
2010/01/31 09:07
野村アセットマネジメントは2010年1月14日、投資信託(投信)に関する意識調査結果を発表した。それによると調査母体のうち「投信における分配金の存在」を知っている人においては、「分配金が出ることで、該当する投信の基準価額がその分下がること」が理解できている人は51.1%に留まっていることが分かった。投信保有者でもその割合は63.4%でしかなく、決して高い割合ではないことが分かる(【発表リリース】)。
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今調査は2009年10月5日から8日にかけて事前調査(4万人対象)・同年10月8日から14日にかけて本調査(2069人)をインターネット経由で行った結果。本調査における男女比はほぼ1対1、年齢階層比も30代・40代・50代・60代でほぼ均等割り当て。投資信託の保有・非保有率は約2対1でほぼ均等に各年齢層・性別で割り当てられている。調査そのものはマクロミルが実施した。
【投資信託の分配金、いる? 不要? 68.2%が「必要」】でも触れているが、投資信託の分配金のニーズは高い。しかし【野村アセットマネジメントにおける投資信託の基礎知識コーナー】でも説明されているように、「分配金」は利子とは別物で、利益が出ていなくとも(あるいは利益以上の)分配金が支払われるケースもある。その場合はいわゆる「タコ足配当」のようなものとなり、基準価額は減少してしまう。
↑ 分配金の基本的な仕組み(野村アセットマネジメントから抜粋)
↑ 分配金のケース。同じ「50円」の分配金でも、その中身はさまざま(野村アセットマネジメントから抜粋)
いずれのパターンにせよ、分配金を支払うことで基準価額は下がる(現物株式でも似たような現象は起きる。ただしタコ配は法律上認められていない)。それではこのことを、投信の分配金そのものを知っている人は認識しているだろうか。投信保有者・非保有者を合わせた全体では、51.1%に留まっていることが分かった。半数近くは預貯金の利子と同様なものだと考えているようだ。
↑ 分配金が出ることで、基準価額がその分下がることについて知っているか
傾向としては「女性より男性」「非保有者より保有者」の方が、認知率は高い。しかし属性別でもっともよく理解している投信保有の男性ですら、7割強しか理解していないことが分かる。非保有者に至っては、男性で3割、女性だと2割足らずでしかない。
比較的正しく理解している人が多い投信保有者に限定し、男女・年齢階層別に認識率を見たのが次のグラフ。
↑ 分配金が出ることで、基準価額がその分下がることについて知っているか(投信保有者・分配金認知者限定)
男性は押し並べて高い値を示しているが、女性は「投信保有者ですら」低め。特に投資を始める機会が多いであろう30-40代において、女性の認識率が低いのが見てとれる。
投信の分配金は基準価額から切り分け
例えば上記の「case4」なら、運用に失敗して基準価額が1万円から9950円に減ったにも関わらず、50円の分配金を出しているため、分配金交付後の基準価額は9900円になってしまっている。基準価額は合わせて1%も目減りしてしまった。ここから元の1万円に戻すには、同じく1%……ではなく、1.01%の利益を上乗せしなければならない。削られた額の分だけ元に戻すには、削られた以上の「割合」をアップする必要がある。
もっと分かりやすくすると、1万円から分配金が5000円支払われて基準価額が50%マイナスの5000円になってしまったら、元の1万円に戻すためには5000円から50%プラスではなく、100%プラスが必要になるということ(5000円の50%プラスでは7500円にしかならない)。それだけ「基準価額の維持、底上げ」は大切というわけだ。
預貯金の利息と投信の分配金は、「投資しているお金に対して支払われるもの」という点では同じだが、性質はまったく別物。利息で預貯金の元本が削られることは無いが、分配金は基準価額を削るものということを改めて確認してほしい。
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