【更新】「大変思う」は2.6倍の差…経営陣と社員、「コスト削減」で生じる「やる気減退」認識の違い
2010/01/25 07:13


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今調査は2009年12月18日から21日にかけて、社員規模が10-299人規模の企業の経営層に対してインターネット経由で行ったもので、有効回答数は420人。
別記事で解説しているが、調査母体の経営陣においてコスト削減を継続するつもりの人は89.3%。しかしその89.3%において45.3%は「社員のモチベーション(やる気)低下」を心配している。

↑ コスト削減の継続実施にあたり、一番懸念する事は何ですか(継続実施回答者のみ)(再録)
それではもっとダイレクトに、「コスト削減が社員のモチベーションを下げる要因になっているか」と尋ねた場合、どのような返答をするのだろうか。経営陣の立ち位置では8.6%が「大変思う」、45.5%が「思う」、合わせて54.1%が「下げる」と認識していた。

↑ コスト削減が社員のモチベーションを下げる要因になっていると思うか
たとえ4.3%でも「全く思わない」とする経営陣がいることが驚き。あるいは他に、モチベーションを維持する方策を同時に打っているのだろうか。
NTTレゾナントでは今調査結果の発表一週間前に、同様のアンケートを「社員に対して」行った結果を発表していた([該当発表リリース])。そちらによると「コスト削減で自分たち社員のモチベーションは下がる」という認識を強く持っている人は22.1%に達し、それなりに思う人は39.1%にも及んでいた。合わせると61.2%が「下がる」派。
そこで違いが分かりやすいように、経営陣・社員双方の結果を並べたのが次のグラフ。

↑ コスト削減によって働くモチベーションは下がると思いますか(立場別)
特に「強く思う」の部分で経営陣と社員との間に大きなギャップが生じているのが、ひと目で分かるだろう。
「モチベーション」「やる気」はよほど減退していなければ見た目では分かりにくく、すぐに数字に表れることも少ない。しかし仕事効率の低下や他所とのトラブルの増加、健康問題、倫理観の減少など、中長期的に見ればさまざまな面でマイナスの影響が及び得る。企業側、経営陣から見ればかけがえの無い人員そのもののが離れていく可能性も否定できない(社員側調査では、コスト削減が退職・転職を考慮する要因の一つになると答える人が37.8%にも達している)。
経営陣は単に「削れそうだからザクザクとコストを削ってしまおう♪」と安易に経費削減をするのでは無く、「それは本当に不必要なコストなのか」を多面的に考える必要がある。さもなくば削減効果の何倍にも及ぶ、さらなる損失をこうむることにもなりかねないのだから。
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