アメリカで年末年始に売れたもの、ズーズーペットに謎の「スナギー」!?
2010/01/21 07:18


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まずはいかにアメリカで「ズーズーペット」が売れ、小売店にとっても話題となったかが分かる資料。サプライチェーン店などの分析を行っている【Panjiva社】が2009年11月16日(つまり年末商戦に入る直前)に出したレポート【Panjiva Trends Technology Reveals Hot, Not-Hot Holiday Gifts】がそれだ。直訳すれば「Panjiva社の計測による、年末年始商戦で売れそうな商材、売れなさそうな商材」で紹介されたレポート。

↑ Panjiva社のレポートによる、年末年始商戦向けの商品における、前年同期の供給拡大割合上位陣
これは前年同期と比べてどれだけ供給=出荷数が伸びたかを示すグラフ。「ズーズーペット」と「Snuggies(スナギー)」が+∞(プラス無限大)となっているが、前者が昨年同期はまだ登場していない、後者も名前が知られ始まったばかりなのが原因。ゼロは何倍してもゼロのままだし、去年の現時点ではスナギーの売れ行きは今と比べてゼロに等しいということ。ともあれどれだけズーズーペット、そしてスナギーが売れているかが分かる。
不景気時は(手ごろな価格で高級感と満足感が味わえる)甘いものが流行るという話があるが、それを裏付けるかのようにチョコレートトリュフ(Chocolate Truffe)が+468%と大幅な伸び。除菌ローション(Hand Sanitizer)が大きく伸びたのは恐らく新型インフルエンザの影響、そして書籍用ブックライト(Book Light)の伸びは後述するように「スナギー」とセットになったのが原因と思われる。
石炭は……実はクリスマスのプレゼントの一種として「悪い子」には靴下に石炭を入れるという風習がある。実際には暖房用のため、なのだろうが「悪い子も6%くらい増えたのかもね hehe」というジョーク的な意味合いも含ませるためのものだろう。
なお元資料には逆に「前年同期でどれだけ供給・出荷数が落ちたか」という下位ランキングも掲載されている。こちらのグラフの紹介は略するが、映画などの流行りものはともかくとして、デジタルフォトフレーム(デジタルデータの写真を飾っておける写真立て)が77%もの縮小を見せているのが気になるところ。実際には「デジタルだろうとアナログだろうと、そんなに写真立ては要らないよ。プレゼントにしたってすでに相手の家にあるのに、さらに贈っても喜ばれないナ」ということなのだろう。
●スナギー(Snuggies)って何?
さて上位ランキングにズーズーペットとタメを張っているのが「スナギー」という謎の洋服。初め見た時に形状が似ていることから「ツナギのスペルミスでは?」とも思ったが、「スナギー」で間違いない。

↑ スナギー
↑ スナギーを紹介するテレビCM。
このスナギー、修道院の修道士様(の服)のように見えるが、毛布に袖をつけた、いわゆる「全身を包み込む、着るブランケット」。元々「Snuggle」が「抱き寄せる」という意味の単語なため、それがこの服にマッチしたということで名付けられたようだ。日本では「スナギー」という言い回しより、「エコブランケット」「あったけっと」「袖付きブランケット」「ヌックミィ」という、もう少し仕様が分かりやすい名前が用いられている(『アマゾンで「スナギー」にて検索すると分かる』)
なぜこれが大いに売れたかと言うと、動画の説明にもあるように「光熱費を節約すると寒いけど、代わりに毛布を身体にかけても毛布はすぐにずり落ちる。でもスナギーなら包まれたままで温まりながら色々な行動が出来るヨ」というセールスポイント。さらにこのテレビCMがあまりにもおバカなノリで「こんな時にもスナギならヌクヌク温かくなれるヨ」といった状況を色々と伝えるものだから、見ている方もそのノリに乗るがごとくクチコミで広がったのが実情のようだ。
実際、価格も配送料込みで23ドル(本体価格14.95ドル+配送料7.95ドル)、オマケに上記で触れた「書籍用ブックライト」がついてくるというお値打ち価格。これならノリで買ってもさほど痛くはないし、冬場の室内着としては良いアイテムといえる。
↑ 新しいタイプのスナギーCM。バーベキューや映画館でまで……。
要は「価格の安さ」と「需要にマッチした商品」であること、さらに「見た目の面白さ」と「ノリ」がヒットセールスの原因のようだ。
ズーズーペットはともかく、スナギーが大ヒットしたのは、アメリカの景気が今二つ状態なのも大きな要因といえる。安くて、暖房費を節約したい時にはぴったりのアイテムだからだ。今年の冬も再びスナギーが大流行するようなら、それは景気後退が継続していることを意味するものでもある。
その観点で考えれば、今年の年末年始商戦では、スナギーのヒットが今一つとなることに期待した方がよいのかもしれない。
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