電車内広告、一番見られているのは「週刊誌」。でも個別の雑誌名、覚えてる?
2010/01/06 07:31
ネットエイジアは2010年1月5日、「電車内広告の広告効果に関する実態調査」の結果を発表した。それによると2009年12月初頭において調査母体が電車内で見た広告のうち、もっとも印象に残っている広告は「週刊誌全般」だった。次いで携帯電話の「au」が独自ブランド名としてランクインされている。一方、週刊誌をはじめとした雑誌にスポットライトを当ててみると、個別雑誌名を挙げた人は少数に留まっている。電車内広告では「雑誌・週刊誌」という認識はされるものの、個々の媒体まで区分した上で覚えてもらえてはいない可能性を示唆する結果が出ている(【発表リリース】)。
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今調査は2009年12月2日から16日にかけて、携帯電話のインターネット経由で週1回以上「JR山手線」「JR中央線」「東京メトロ銀座線」のいずれかの電車に乗る20歳から49歳の人に尋ねたもので、有効回答数は1146人。調査地域は一都三県を対象としている。男女比は602対544、年齢階層比は20代429人・30代438人・40代279人。
調査母体に対して2009年11月30日(月)から12月2日(水)の期間中に見た電車内広告のうち、もっとも印象に残っているものを自由回答形式で答えてもらい、それを集計したところ、最多得票を確保したのは「週刊誌(具体的な雑誌名の記載なし)」だった。約1割、110人が回答している。
↑ 2009/11/30(月)-12/2(水)の期間中に見た電車内広告のうち、最も印象に残っているもの(自由回答)(人数/1146人中)
「電車内広告」にはいわゆるデジタルサイネージの「トレインチャンネル」や、通路の上にぶら下がっているのれん広告、さらには窓やその横に貼られているシール状のもの、窓の上に差し込まれているポスター状のものなど、さまざまなスタイルのものがある。それらを合わせてもっとも多く記憶に残っているものとして、「週刊誌」がトップについている。
週刊誌の電車内広告といえば、のれん状のものが良く目に留まる。書かれている文言は記事のタイトルや概要だが、それらを読むだけでその雑誌のスタンスや社会の現状が何となくわかった気分になるから不思議なものだ。次いで多くの人が覚えていたのは「au」。ライバルの「docomo」に大きく差をつけていることから、この時期に「au」が大攻勢をかけていたのが確認できる(※調査母体の携帯電話種類比率はドコモの方が上)。
また、数字はやや落ちるものの、具体的商品名として『レイトン教授と魔神の笛』、そしてその映画が入っているのにも注目したい。同タイトルは映画以外にも総菜パンなどでもタイアップ展開を行っており、積極的なプロモーション活動を実施している。その成果が表れた結果ともいえる。
●覚えているのは「週刊誌」として? 個々の週刊誌として??
電車内広告では必ずと言ってよいほど見かける、のれん状の週刊誌に関する広告が「最も印象に残っている広告」のトップについたわけだが、やや気になる結果も出ているのでここで触れておく。今調査項目は自由回答形式のものを集計したもので、トップの「週刊誌」は具体的な雑誌名が記載されていないものを集めた結果。個々の雑誌名は別個の項目でカウントされている。
そこでデータとして公開されている上位陣のうち、週刊誌・雑誌の類のみを集めたものが次のグラフ。
↑ 2009/11/30(月)-12/2(水)の期間中に見た電車内広告のうち、最も印象に残っているもの(自由回答)(人数/1146人中)(公開データ中雑誌限定)
具体的雑誌名まで覚えている人は、各雑誌毎に上位陣でも10人程度しかいない。別記事で改めて触れることになるが、広告を出した側としては対象となる商品(この場合は週刊誌)の名前まで覚えてもらえないと意味がない。内容を示す広告だけを読んで満足される、あるいは「週刊誌全体」という認識で留まってしまい「他誌では無くうちの雑誌」という認識が無ければ、実のところ困るわけだ。
ところが実際には、個別の週刊誌名まで覚えている人は少数でしかない。「元々広告なんてそんなもの。調査母体から逆算して1%前後の人に具体名まで覚えてもらえれば御の字」なのかもしれない。しかし最初のグラフにもあるように「au」や『レイトン教授と魔神の笛』、「docomo」などブランド名・商品名まで覚えてもらっている人の数がその数倍に及んでいることを考えると、やはり現在の週刊誌の電車内広告には何らかの問題点がある気がしてならない。あるいは単に、あまりにも週刊誌広告の数が多すぎて、個別の認識が出来ないだろうか。だとしても、他誌との区別化を図るため、広告を出す側に創意工夫が求められてもおかしくはない。
「これまでこのスタイルだったから」と言われればそれまで。だが、携帯電話の普及やデジタルサイネージの登場など、状況が変化する中で、効果が薄くなりがちな現行スタイルを頑なに維持し続けるその姿勢自身が、一番の問題といえるのかもしれない。
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