【更新】日本の投資先・日本へ投資している地域
2010/01/05 07:11


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今件データは先の「主要国の対外純資産額」で日本銀行のサイトを調べている際に見つけた、【本邦対外資産負債残高】の最新のデータ【2008年末の本邦対外資産負債残高・詳細】で知ることができる。資料では地域別、そして目立つ数字を持つ特定国を項目ごとに挙げて残高を提示している。国単位で見るとあまりにも煩雑となるので、今回は地域別にまとめてグラフ化することにした。
まずは資産。つまり日本が貸し付けている先。短期債投資の区分のデータが無かったので、直接投資・株式投資・中長期投資の3項目についてグラフ化した。

↑ 日本の主要項目における対外(日本→外国)投資残高:資産(兆円、2008年末)
すべての項目において北米(事実上のアメリカ)が多い……ように思えたが、実は中長期債投資については対EUあての方が多い。上位三か国を挙げると、ドイツが15.1兆円・フランス10.5兆円・イギリス10.5兆円となる。逆にいえばアメリカに対しては1国で54.1兆円も投資していることになる。また、中南米への中長期債投資の貸付(つまり債券購入)が多いことも分かる(ただし大部分はいわゆるタックスヘイブンなケイマン諸島)。
また、株価の低迷や日本以外の国における債権の高利回りを好感してか、株式投資よりも債券投資の方が額面が大きくなっているのが確認できる。
なお誤解する人がいるので書きくわえておくが、先の「主要国の対外純資産額」でも記したように、これらの投資の大部分は民間ベースのもの。例えば対外中長期債投資の場合、公的部門は0.5兆円でしかなく、民間銀行部門は53.6兆円、そして民間その他の部門は123.2兆円にも及ぶ。
一方で日本にとっての負債、つまり日本が国単位で考えた場合に借り受けている地域。こちらは短期債投資のデータもそろっているので4項目についてグラフ化している。

↑ 日本の主要項目における対内(外国→日本)投資残高:負債(兆円、2008年末)
こちらは「資産」と比べて、投資手段毎に大きな違いが見受けられる。株式投資は北米がEUよりもかなり上回っているが、中長期投資となるとアメリカの影はほとんど見られず、アジア全体よりも小さなものとなる。逆にEUは大手を振って登場。短期債もEUの方が多い状態。また、日本国内の債権利回りが低いせいもあるのだろうが、全体的に「資産」と比べると債権よりも株式投資に傾倒しているようすがうかがえる。
元資料「2008年末の本邦対外資産負債残高・詳細」にはより詳細な形のデータと、詳しい解説が寄せられている。例えば2008年末における純資産残高が1年前と比べて減った最大の要因は、為替(円高ドル安)によるものであったことが分かる。2007年末からの1年間で対米円レートは実に2割ほど・ユーロに至っては23%強も変動しているのだから、当然といえば当然の話ではある。
機会があれば元資料「2008年末の本邦対外資産負債残高・詳細」は是非一読してほしい。何か新たにつかめることがあるかもしれない。
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