有名経済系サイト読者が予想する、今年のアメリカの経済成長率と失業率推移
2010/01/02 07:45
当方の巡回サイトの一つに【アメリカの金融政策の現状がひとめで分かる写真】などでも紹介した著名ファイナンス系ブログ【Calculated Risk】がある。このサイトで先日、アメリカの2010年における経済成長率(GDPの成長率)と失業率の推移予想の投票結果が発表されていた。分析も合わせ興味深い内容となっているので、ここに紹介することにしよう(【該当ページ】)。
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まず一つ目は2010年におけるアメリカのGDPの成長率に関する展望。4つの選択肢の中から一つを選ぶというシンプルなものだが、過半数が「2009年より悪くなるのでは」という考えを持っているのが分かる。つまり前年比でマイナスになるということだ。
↑ 2010年における米GDPの成長率予想(Calculated Risk)
「a double dip recession」、つまり昨年に比べて倍するほどの悪い数字しかでないだろうという予想が57.1%と過半数を占めている。次いで「2009年と比べて成長するが、その値は2%未満でしかない」という意見が29.0%。それなりに良い数字といえる「2%以上」は2項目あわせても13.9%でしかない。
元記事では「大きな不況状態を経たのち、経済は急激に成長するもの。仮にこれまでが『景気の底』だとすれば、経済成長率は8%以上の伸びを示すはず。しかしそれは起きそうにない。それらを考慮すると、2010年は2-3%の成長に留まるのではないか」と説明している。
次いで失業率の問題。昨年末にアメリカの失業率は2ケタ台に突入したことで色々と注目を集めたわけだが……。
↑ 2010年における米失業率予想(Calculated Risk)
「Calculated Risk」の読者の69.8%は「2ケタ台を維持するだろう」と読んでいる。GDPの成長率と比べて悲観的な意見が多いのが気になるところ。ただ、経済、特に労働構造の変化が劇的に進んでいることを考えれば、そう考えざるを得ないのも仕方の無いところか。
元記事では「恐らく2ケタ台を維持、という推論は正しい」とした上で、「この高失業率への対策として、新たな失業対策の政策がこの数か月以内に発表されるだろう。そしてそれは(一時的に)失業率を1ケタ台に押し戻すに違いない」と解説している。
あくまでもこれらの値は、経済系サイトの読者に対する調査結果でしかない。しかし4000人規模の投票が行われていることや、元々経済を公開されている数字を元にグラフ化・分析している専門性の高いサイトに集まる読者の投票であることを考えると、それなりに精度は高いと考えてよい。当たる・外れるは別として、多くの人の認識としては「失業率は2ケタ台の高いまま」「経済成長はほとんど無い、逆に落ち込む可能性が高い」が、現時点における2010年の見方ということになる。
もっとも元記事では最後にこんな言葉を残し、一連の調査結果をまとめている。
(I hope most of us are too pessimistic.)
確かにその通り。今年の年末は「やっぱり悲観し過ぎたね」と笑いながら、この記事を読みなおしたいものだ。
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