国債・公債の安心度上位国

2010/01/03 08:51

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安全イメージ先に【国債・公債のデフォルト確率上位国】でCMEグループのCMA DataVisionが算出した「国債や公債のデフォルト(債務不履行、要は「お支払いできません」状態)高確率国上位10位」を掲載した。その本文中にて「もっとも低い国はノルウェー、日本は低い順で15位」などと説明したところ、「確率の低い国のランキングも見たい」という意見をいくつかいただいた。元資料のPDFファイルを見れば一発なのだが、グラフの状態で確認したい人も多いだろうということで、今回は「国債・公債の安心度上位国」をグラフ化してみることにした。



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今回比較した値CPD(累積債務不履行確率、cumulative probability of default)はCDS市場などを元に算出されたもので、CMEグループのCMA DataVisionが計算したもの。具体的にはCPDの値がそのまま「今後5年間にデフォルトとなりうる値」を示している。例えばA国の国債における CPDが5%なら、A国国債が今後5年間にデフォルトしてしまう可能性は5%と、CDS市場などが判断していることになる。

もちろん以前【破たんリスク30%超えも!? 日本企業のCDS値をチェックし直してみる】でも解説しているように、CDSはち密・厳密な計算によるものだけでなく、市場原理(しかもその市場の参加者は株式市場よりはるかに少ない)によって大きく左右される。市場関係者の心理や思惑で大きくぶれることも当然ありうる。その値を元にしている以上、CPDが100%対象となる国債・公債のデフォルトの可能性を示しているとは言い切れないことに注意してほしい。あくまでも「市場がそう思っている」割合であり、いわば逆人気投票結果のようなものだ。競馬でいえば、一番人気の馬が常に一等になるわけでは無いということ。

該当する最新データはCMEグループのCMA DataVisionで公開されている【Global Sovereign Credit Risk Report 4th Quarter, 2009(PDF)】から。まずは先の「国債・公債のデフォルト確率上位国」同様に下位10位、つまり「安心度上位10位」をグラフ化する。数字が低い方が安心というわけだ。

↑ 国債・公債のCPD下位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(低いほど安心)
↑ 国債・公債のCPD下位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(低いほど安心)

前述したように、ノルウェーがもっとも低リスク。「ノルウェーの国債を購入して5年の間に紙くずになる確率は(現時点で)1.4%」という計算になる。カリフォルニア州の21.02%と比較すると、安心度は15倍。カリフォルニア州がワースト10に入っているものの、アメリカ合衆国全体としては2.9%で上位10位に入っているのが何とも興味深い。

日本はこのランキングでは15位であることはすでにお伝えした通り。せっかくなので日本も含め、それより上位・下位が同じくらいリストアップされるように、30位までを抽出してグラフ化しなおしたのが次のグラフ。

↑ 国債・公債のCPD下位30位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(低いほど安心)
↑ 国債・公債のCPD下位30位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(低いほど安心)

繰り返しになるが、CPD値はCDS市場の値を元に計算したもので、「市場がそう思っている」割合でしかない。あくまでも確率論的な値の一つ、参考値程度でしかなく、例えば「5%以上の国の国債を20種類購入すれば、必ずどれか1つはデフォルトする」という話ではないことに注意してほしい。

数字を元に色々と考察することは非常に重要ではある。しかしその数字自身が算出された背景をしっかりと見極めないと、グラフが持つ意味・重要性の度合いを読み間違ってしまう。自戒も含め、くれぐれも注意したい・してほしいものだ。



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