【更新】将来へのたくわえ63.2%……「来年どんな費用を増やす?」に現れる生活防衛意識
2009/12/27 08:55
ヤフーバリューインサイトは2009年12月25日、「あなたの2009-2010年に関する調査」の結果を発表した。それによると調査母体における2010年の消費性向としては「貯蓄や家族とのコミュニケーション費用」を増やす一方、ファッションや飲食など娯楽関係の費用を減らす傾向が強いことが分かった。景気後退感が強まる中で、一人ひとりに「生活防衛意識」「家計・家庭を守る思い」が強まりを見せているようにも見える([発表リリース])。
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今調査は2009年12月2日から4日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、年齢階層比は20代-60代まで10年区切りでほぼ均等割り当て。
来年2010年におけるお金の使い方についての見通しを、項目別に「増やす意向」「減らす意向」の二択で確認したところ、もっとも「増やす意向」が多かったのは「将来への蓄え(貯金・預金・投資など)」だった。63.2%の人が「増やす」と答えている。
↑ 2010年の消費の見通し・費用
今回提示された項目に限れば、来年は費用を増やすのはわずかに2つ、「将来への蓄え」と「家族とのコミュニケーション」のみ。それ以外はすべて「減らす」傾向が強い。特に「飲食」「習い事など自分磨き」「スポーツなど運動」「ファッション」は「増やす」が3割を切っており、削減傾向が強いことが分かる。これらの項目は娯楽・エンターテインメントの要素が強く、多くの人が「自分の楽しみ、娯楽を削ってでも生活を守ろう」とする意識がうかがえる。ダイレクトに自分の趣向につながる「趣味」はかろうじて35.9%に留まっているが、2/3は減らすということでもあり、それなりに厳しい現状が見て取れる。
費用だけですべてが決まるわけではないが、少なくとも費用の面では2010年は「質実剛健で質素な生活」の傾向が強まりそうではある。
●若年層ほど投資も盛ん……投資傾向は?
元資料では男女・年齢階層別に「増やす」と回答した人の割合も掲載されている。ここでは当サイトの色合いにもっともマッチする「将来への蓄え(貯金・預金・投資など)」についてグラフ化をしてみることにする。
↑ 2010年の消費の見通し・費用(増やすと回答した割合)「将来への蓄え(貯金・預金・投資など)」
最初のグラフにあるように、元々この項目は「増やす」とする回答率が高い。そして今グラフからは、「高齢層よりも若年層」「男性よりも女性」の方が増加傾向が強いことが分かる。家計をあずかることが多い女性としては、危機感をより一層感じているということか。
また、若年層の方が「蓄えを増やす」率が高いのは、将来への不安が大きいのが最大の要因だろう。半ば傍若無人に振る舞い、自分たち若者へのことを見向きもしないようにすら見える高齢者・特に団塊世代に対し、深い疑念の想いが反映されている、と解釈してもあながち間違いではない。
なお今回はグラフ作成や詳細解説を略するが、実は他の項目においても多少の差はあれど、中堅・高齢者よりも若年層の方が「増やす」値が大きい結果が出ている(将来への蓄えほどではないが)。例えばファッションの項目の場合、50代女性は25.5%・60代は8.7%しか「増やす」値が無いのに、20代女性は39.5%にも達している。これは若年層の可処分所得の絶対額が増えれば、それだけ消費に回される額・割合が大きいことを意味する。
今データを見る限り、内需拡大を目指すのなら、まずは若年層の所得を上乗せすべきではないか。そのように考えてもおかしくは無い結果といえる。
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