白熱電球から電球形蛍光ランプ、LED電球に交換……でも何か月で元が取れる!?

2009/12/23 16:32

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LED電球イメージ【東京電力(9501)】は2009年12月22日、【省エネ型電球への切り替え-電球形蛍光ランプとLED電球-】と称し、インターネット調査の結果を発表した。そこには白熱電球から電球形蛍光ランプやLED電球に切り替えた際、何か月利用すれば初期コストの高さを回収できるのかについて、非常に深いデータが掲載されていた。今件に関する東京電力のアンケート結果と共に、具体的な「コスト回収時間」について検証結果を紹介することにしよう。



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【寿命は13倍、消費電力は1/7!-東芝ライテックが電球型LEDランプを発売】などにもあるように、最近では普通の白熱電球と同じソケットを利用できるLED電球も数多く登場している。そしてもちろん、それより以前に市場に出回っている電球形蛍光ランプも同じく、白熱電球の利用感覚で使用が可能だ。

「それなら、白熱電球より時間当たりの電力量が少ない電球形蛍光ランプ、電球形蛍光ランプよりLED電球の方がいいに決まっているのでは」と思うかもしれない。しかし、今のところ白熱電球・電球形蛍光ランプ・LED電球の順に価格は高くなっていくため、一概にはそうとも言い切れない。今回の東京電力の試算では、白熱電球115円、電球形蛍光ランプ880円、LED電球3980円としているが、大体現在の市場価格もその程度。

そこで、1日6時間点灯させるような場面で白熱電球・電球形蛍光ランプ・LED電球を点灯させた場合、それぞれの代替はどのくらいの期間で初期コストが回収できるかを試算したのが次のグラフ。

↑ 同等の明るさを持つ白熱電球・電球形蛍光ランプ・LED電球のランニングコストの対比試算(1日6時間点灯)
↑ 同等の明るさを持つ白熱電球・電球形蛍光ランプ・LED電球のランニングコストの対比試算(1日6時間点灯)

簡単に説明すると、白熱電球は寿命が短いのですぐに買い替えが必要だが、買い替えコストは低い。しかし時間単位の消費電力=電気料は白熱電球が一番高く、電球形蛍光ランプ・LED電球の順に安くなる。つまり累積料金のカーブは白熱電球が一番急で、電球形蛍光ランプ・LED電球の順に緩やかになる。

・白熱電球
→電球形蛍光灯:5か月
→LED電球:19か月
 ……で元が取れる
(あとはランニングコストが
 お得になるばかり)
10年間で区切った場合、「白熱電球」と「電球形蛍光ランプ」はわずか5か月でコストが逆転し、あとはどんどん差が開く。「白熱電球」と「LED電球」の場合はもう少し時間がかかり、1年半ほど、19か月後にコストが逆転する(ちなみに「電球形蛍光ランプ」から「LED電球」では72か月後になる。これについては後ほど触れる)。

東京電力ではインターネット経由の調査(2009年11月18-19日、20-60代の男女1450人、男女比1対1)で、「どれくらいで初期コストを回収できるのなら白熱電球から電球形蛍光ランプやLED電球に買い替えるか」と尋ねている。コスト回収期間は上の通りだが、結果としては「電球形蛍光ランプなら89%」「LED電球なら58%」が想定通り(あるいはそれより早く)コストが回収できるので、コスト面では交換に何の問題もない、という結果が出ている。

↑ 白熱電球→電球形蛍光ランプにおいて「この期間で初期コストが回収できれば買い替えたい」か(白熱電球:115円、電球形蛍光ランプ880円)
↑ 白熱電球→電球形蛍光ランプにおいて「この期間で初期コストが回収できれば買い替えたい」か(白熱電球:115円、電球形蛍光ランプ880円)

↑ 白熱電球→LED電球において「この期間で初期コストが回収できれば買い替えたい」か(白熱電球:115円、LED電球:3980円)
↑ 白熱電球→LED電球において「この期間で初期コストが回収できれば買い替えたい」か(白熱電球:115円、LED電球:3980円)

家庭で「1日6時間白熱電球を使う状況」というのが少々考えにくいが(室内の主要照明はすでにほとんど蛍光灯のはず)、もし長時間照明を使うような場面で白熱電球を使っているのなら、すぐにでも電球形蛍光ランプやLEDに切り替えた方がよさそうだ。その方が、省エネという点でもコストダウンという点でもメリットが生じるのだから。

「電球形蛍光ランプ」から「LED電球」は是か非か
恐らく多くの人が気になる、あるいは状況的に当てはまるのが、「電球形蛍光ランプ」から「LED電球」への切替。上記試算だと「1日6時間使用」という条件ですらコスト逆転には72か月かかる計算になる。仮に浴室の電球形蛍光ランプをLED電球に切り替えたとして、家族であわせて2時間浴室を利用したとしよう。単純計算で3倍すると、コスト逆転には18年の月日が必要になる。これではとてもではないが、切り替え意欲はわかない。逆に、1日24時間ずっと点灯している場所……例えば倉庫内の常点照明……は1年半(24÷6=4、72÷4=18か月)でコスト回収が可能となるので、切り替えハードルは低くなる。

■電球形蛍光ランプを
 使用中
・省エネの観点
→今すぐLED電球へ
・省コストの観点
→継続使用し、
寿命切れの時点で
再考すべし
また、最初の試算折れ線グラフでは10年までしかないため、その期間での「LED電球の追加購入コスト」はゼロとなっている。しかしLED電球が寿命切れとなる18年強が経過した段階で、再び「その時点で」電球形蛍光ランプより高値のLED電球を再び購入しなければならないため、そこまでの間で開いていたコスト差が大幅に縮まる可能性がある。

さらに昨今のLED電球の新製品情報を見ればお分かりのように、この分野では技術革新が続々と行われ、量産化の進展もあわせ、高性能化・低価格化が猛スピードで進んでいる。5年・10年先にようやくコスト逆転を果たし得るのなら、「コストの面では」急いでLED電球に変えることはせず、現在使っている電球形蛍光ランプの寿命切れを待って差し替えを検討した方が安上がりに着く可能性は高い(LED電球の初期コストがさらに下がり、コスト逆転の期間が前倒しになる)。

もちろん買い替え費用を無視した月あたりの電気「量」、そして電気「料」は当然電球形蛍光ランプよりLED電球の方が少なく、低額で済む。省エネという点では今すぐにでもLED電球に差し替えるべき。しかしコストの面まで考慮するのなら、差し替えは熟考する必要があるとせざるを得ない。



リリースにもあるように現状では、2012年までに家庭用の一般白熱電球が製造中止になる可能性が高く、それ以降は必然的に電球形蛍光ランプに切り替えが求められる。それまでには電球形蛍光ランプやLED電球も現状からさらにコストダウン・性能アップが図られ、上記の試算も再計算されねばならない。

繰り返しになるが、電力量の省エネという観点なら、現時点でもLED電球への全面切り替えが一番。ただしコストの面まで考えると、現在白熱電球を使っている場所はともかく、電球形蛍光ランプの場所は、継続使用を勧めたい。モノを大切にする、という点でも、その選択は間違っていないはずだ。


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