【更新】二極化は継続、賃貸料減額傾向は顕著に-東京23区内の賃貸住宅家賃事情(2009年12月発表分)
2009/12/16 12:10
アトラクターズ・ラボは2009年12月14日、東京23区の賃貸住宅における賃料改定状況調査結果を元にした最新データを発表した。それによると東京23区における賃貸住宅では、20万円を超える高級賃貸物件で家賃改定の際に、家賃を下げる傾向がさらに強まりを見せていることが分かった。比較的下げ率が大人しかった20万円未満の物件でも、家賃減額の動きは加速化している。三か月前の調査結果【実用物件でも賃貸料減額傾向に-東京23区内の賃貸住宅家賃事情(2009年9月発表分)】でも見られた「一般家庭の実需層が利用している20万円未満の物件」と「それより上の物件」における下げ幅の格差は継続しているものの、賃貸物件全体に家賃の減少傾向が浸透・加速化する雰囲気がうかがえる(【発表リリース】)。
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今調査はアトラクターズ・ラボの賃貸住宅データベースを用いて集計したもので、対象期間は2009年7月-9月期のもの、対象データは東京23区内。同一住戸における前回募集賃料(入居・退去を経たもの)と今回募集賃料とを比較している。例えば同額だった場合、値は0%となる。前回・今回募集時期の平均期間は約2年、サンプル数は4万3003戸。
調査結果では「賃料帯別(改定率推移と改定状況)」「20万円未満、20万円以上別」「賃料帯別における都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)と他区地域比較」それぞれについてデータが公開されている。それらのうち「賃料帯別(改定率推移と改定状況)」を抽出してまとめると、次の通りとなる。
↑ 東京23区全体・賃料帯別賃料改定率
・50-60万円台の高額賃貸物件は下げ率も著しい。
・超高額(70万円以上)は逆に、50-60万円台と比べると下げ幅を少なくしており、前回までの「高い物件ほど下げ幅も大きい」という一辺倒の状況から変化を見せつつある。
三か月前においては「空き室率を別にすれば、昨今の不動産市場の急落の中でも、『20万円未満・70平方メートル未満』の(比較的に)一般家庭層向けの賃貸住宅物件では、下げ幅は最小限に留まっている」という傾向が見られた。しかし今回のデータではこの層にまで、明らかな下落の加速傾向が確認できる。
需要側のお財布事情の悪化で
下落傾向。
・高額賃貸住宅は
需要が減り、値下げを
余儀なくされている。
・値下げは一般の
賃貸住宅にも及びつつある。
前回においては「改定率が-1.0%未満の領域は築年経過(約2年)による減額を考慮に入れると実質増加と評価できる」事例もあったが、今回は「実質プラス」と判断できるものは無い。一般の賃貸住宅においても、下げ基調は浸透しつつあることが改めて確認できる。
一方で今調査結果では、今件も合わせて過去4回の事例においてはじめて、超高額賃貸物件の下げ幅が、高額賃貸物件の下げ幅を下回るという現象が確認できた(50万円以上の各区分において、図中三角マークのところ)。最近条件を絞った上での高級建売・賃貸住宅を探しているという内容のチラシをよく目にするようになったことが報じられているが([“買いますチラシ”は実話か? 「あなたのマンション限定です」 (産経新聞)])、当方(不破)の自宅にもこの類のチラシがここ数か月何度も投函されている。やはり条件は非常に高レベルなもので、賃貸物件なら上記グラフの右側に位置するのは違いは無いたぐいのもの(※ちなみに当方の住居自身がこの条件に当てはまるものではないので、念のため)。
精査は次回の定期データ更新を待たねばならないが、超高級・高額の賃貸物件においては、下落の底を見せつつあるのかもしれない。
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