【更新】デフレで商品価格の下落が来年も続くとしたら「不安」、それとも「嬉しい」?
2009/12/15 05:03
情報サイト「ブロッチ」などを展開するアイシェアは2009年12月14日、物価下落と今後の景気・経済に関する意識調査の結果を発表した。それによると調査母体においては、2009年における商品価格の下落傾向が2010年も続くとしたら、「嬉しい」と思う人は2割近くに達していることが分かった。一方で「不安」を感じる人は3割近くに及んでおり、デフレの進行が直接自分のお財布事情をうるおす恩恵より、経済全体が受けるマイナスの影響を心配する人の方が多いことを示唆する結果となっている([発表リリース])。
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今調査は2009年11月24日から11月27日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの登録会員(携帯電話による個人認証を利用したもの)に対して行われたもので、有効回答数は477人。男女比は55.3対44.7で、年齢階層比は20代28.3%、30代34.2%、40代37.5%。
昨今の「デフレ宣言」にあるまでもなく、2008年の資源価格の一部高騰の反動ともあわせ、商品価格の下落が相次いでいる。消費者のふところがさみしくなったため、価格を下げないとモノが売れなくなっているのが主要因だが、牛丼やジーパン、コンビニに並ぶお弁当などを見ても、商品単価が下がっていることを実感できるはず。
そのような状態・競争が、もし来年も続くとしたらどのような感想をいだくだろうか。調査母体においては、「嬉しい」と思う層は20.1%に達していた。一方、「不安」を覚える人は28.5%となり、「嬉しい」派を8.4ポイントも上回る結果となった。
↑ 身の回りの商品の値下げ競争が来年(2010年)も続き、さらに物価が値下がるとしたらどう思いますか?
同じものが今までより安く買えるのなら、消費者意識としては素直に嬉しいのが正直なところ。とはいえ価格が下げ続けられると「本当に品質・量はそのままなのか」「売り手側は(経営的に)大丈夫なのか」という心配が頭をよぎるようになる。昨今のデフレ状態は単純に前者で考えが埋め尽くされるレベルはとうに過ぎ、後者の「不安が頭をよぎる」領域にまで達していることを表す結果といえる。
興味深いのは、普段世間一般からは「経済に無頓着」とイメージされがちな若年層ほど不安感を強めていること。誤差の範囲と言われればそれまでだが、普段から安いものに慣れている若年層だからこそ、不安を覚えるセンスも敏感なのかもしれない。
そしてこの値下げ競争が来年も継続することを望んでいる人は、案外少ない。全体では17.6%。一方で反対は26.6%と、9.0ポイントもの差をつけている。
↑ もしも身の回りの商品の値下げ競争が来年(2010年)も続くとしたら、あなたはどう思いますか?
こちらは賛成派の意見は特に差異は無く、年齢と共に・女性より男性の方が反対派が多い傾向がある。女性より男性の方が危機感を強く覚えているのは確かなのだろう。
【自分の目の前にあるものがすべてではないことを知る】でも触れているが原材料費にさほど変化が無い状態で商品単価を下げる場合、それ以外のコストを切り詰める必要が出てくる。これは商品の生産過程で生み出される付加価値、言い換えれば「そこで働く人たちの稼ぎ分」を減らすことを意味する。今件の結果は、商品価格の相次ぐ下落がめぐりめぐって自分の身の回りの人、さらには自分自身の可処分所得を削ることにつながり得る事実を、少しずつ消費者サイドも気が付きつつあるのかもしれない。
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