アナリストや投資家が理解してくれない……「無形資産」を伝える上での企業の悩み

2009/12/14 05:52

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資産の計算イメージgooリサーチは2009年12月10日、「これからのIR活動の方向性」に関する調査結果を発表した。それによると上場企業の内部関係者を対象とした調査母体においては、ブランドイメージや暖簾(のれん)、知的財産や技術力といったいわゆる企業が持つ「無形資産」について、効果的に投資家へ伝える上での課題としては「無形資産より決算説明を重視するアナリスト、投資家の姿勢」がもっとも多いことが分かった。5割近くの人が同意を示している(【発表リリース】)。



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今調査は2009年10月26日から30日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は362人。上場企業に勤務かつ経営全般、広報宣伝、経営企画、経理、財務または役付役員を対象としており、所属企業の内訳は一部上場が80.1%・二部上場が11.0%など。

「無形資産」とはブランドイメージや暖簾(のれん)、知財(知的財産)や技術力、CSR(企業の社会的責任)への対応、危機やリスクへの対応などを意味する。資金や有価証券、不動産などと比べて定量化が難しいものの、その企業を成立・存続させるのには欠かせない要素も多い。

それら「無形資産」の内容や大切さを効果的に投資家へ伝えることが、企業全体のアピールにもなり、「無形資産」の保全育成にもプラスとなる。とはいえ、言葉通り「形が無い」「定量化されていない」ものを知らしめるのは難しいもの。調査母体に複数回答で、「無形資産」を効果的に伝える上での課題を尋ねたところ、もっとも多くの回答が寄せられた選択肢は「無形資産より決算説明を重視するアナリスト、投資家の姿勢」だった。46.4%の人がその点で頭を抱えていることになる。

↑ 無形資産を効果的に投資家に伝えるうえでの課題は何か(複数回答)
↑ 無形資産を効果的に投資家に伝えるうえでの課題は何か(複数回答)

「無形資産」は有価証券の保有量のように「現在の評価額」がすぐに明確化されるわけではない。アナリストや投資家にしてみれば「1億円の価値があると表現しても過言ではない知的財産を所有している」より「1億円分の土地を所有している」「時価1億円のA社株式を保有している」とした方が理解しやすいし、安心感も持てる。有形資産を重視してしまうのはある意味仕方ないともいえる。

とはいえ、「無形資産」無くして活動を継続できる企業などほとんど無い。企業のスタイルによってはむしろ「無形資産」の方が大切、「無形資産」があって初めて各種の有形資産が活きてくるところも多い。第二位の「経営者の無関心・低関心」も問題だが、もう少し物事を一歩引いて広い目で観る姿勢が大切なのかもしれない。もちろん企業側も今以上の説明努力が求められるのは言うまでもない。



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