【更新】ネットにアクセスしながら何してる? 米における「ながら族」の行動
2009/12/14 07:32
全米小売業協会(NRF)は2009年12月7日、アメリカの消費者における各種消費行動の傾向を調べた調査結果【Word of Mouth Influences Most Electronics, Apparel Purchases, According to RAMA Survey】を発表した。調査会社[Big Research社]に依頼した調査結果を元にしたもので、それによると調査母体ではインターネットをしている時に同時にテレビを観ている人は4割に達していることが分かった。逆にテレビを観ている時にインターネットへアクセスしている人も4割近くに及んでおり、インターネットとテレビは意外に深い関係にあることがうかがえる。今回はこれら「ながら族」に関するデータをグラフ化してみることにした。
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今調査は2009年4月29日から6月18日にかけて実施されたもので、調査対象は18歳以上の男女。調査母体数は2万2624人。なお元資料では「SIMM」という表記が使われているが、これは「Simultaneous Media Survey」、つまり「同時多発メディア調査」「ながら族調査」を意味する。
さて、「ながら族」については日本でもいくつか調査が行われており、当サイトでも【ワンセグの「ながら視聴」はパソコンやテレビが多いが最多は「しないヨ」】や【「テレビ観る」その時あなたは何をする? ケータイでメールやサイト閲覧は6割超に】、【「ながら族」浸透!? 平日のテレビ・パソコン利用時間帯のピークは共に夜9時】、【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】などで取り上げている。特に視聴ハードルが低いテレビやラジオにおいて、昔と違い現在ではインターネットや携帯電話を併用するパターンが多くなり、主たる媒体に集中する度合いの減少傾向が確認できる。
今調査でもいくつかの媒体を対象に、それをしている時に主に一緒に何をしているかについて尋ねた結果をリスト化している。調査元としては各媒体の注力度や、逆に副効果を元に、消費者の行動がどのような影響を受けるかに関する検討材料としてほしい、という主旨のようだ。今回はそれらの中から「インターネット」「テレビ」「携帯電話」にスポットライトを当ててみることにする。
まずはインターネット。
↑ 何かをしているときに主に一緒にしていること(インターネットをしている時)
ネットをしながらテレビを観るというスタイルは日米共通のようで、特に若年層の方が高い割合を示している。手紙を読んだり新聞を読むのはなかなか器用な感もあるが、これらは高齢者ほど割合が高くなる傾向。
次いでテレビ。
↑ 何かをしているときに主に一緒にしていること(テレビを観ている時)
ネットをしている時にもっともよく行われている「ながら行動」はテレビ視聴だったが、テレビ視聴の時にもっともよく行われているのはインターネットだった。こちらは年齢階層別の差異が激しく、若年層では4割近くなのに高齢者は2割強に留まっている。
もっとも興味深い結果が出たのが、次の「携帯電話を使っている時」。
↑ 何かをしているときに主に一緒にしていること(携帯電話を使っている時)
すべての項目において若年層(真赤の棒グラフ)が異様なまでに伸びているのが分かる。「他のことをしている」ですら24.6%に達している。若年層においては携帯電話は「まず携帯電話ありき」で、それと共に他の行動をするものという立ち位置にあるようだ。
特にメディア的には近しいはずの「インターネット」においても若年層は28.9%が回答している。携帯電話でネットをチェックしながら、パソコン上でもインターネットをしている、ということなのだろうが……同じネット上でも、携帯電話経由とパソコン経由では、別の世界のものとして考えているのかもしれない。
今データはあくまでもアメリカの消費者に対して行われたものであり、日本(人)の調査母体を元にしたものではないため、そのまま日本に当てはめるのは適切ではない。とはいえ、同じ人間に違いは無く、大いに役立つものであることも事実といえる。特にテレビ視聴周りの「ながら族」の行動は、インターネットが普及した現在において、既存メディアと新メディアがどのように併用されているかを知ることができる、重要なデータとしてとらえるべきだろう。
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