日本の研究費推移

2009/12/11 05:33

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株価イメージ総務省統計局は2009年12月10日、平成21年科学技術研究調査の結果を発表した。当資料では2008年度における日本の科学技術研究に関するデータが多種多彩な視点から盛り込まれており、科学技術の進歩発展の動向を推し量れる有益なものとなっている。今回はその中から、研究費についてスポットライトをあて、グラフ化してみることにした(【該当資料】)。



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今調査は2009年3月31日、あるいはその直近の決算日からさかのぼる1年間の実績データを対象として、法人・非営利団体・公的機関・研究機関・大学やその付属研究施設などに対して2009年5月頃に行われたもの。調査方法は調査票郵送、インターネットまたは郵送による回収方式。対象数は企業13600、非営利団体・公的機関1100、大学3600程度。そのうち約85%の回答が回収されている。また今件における「研究費」とは「企業など、非営利団体・公的機関及び大学等の社内(内部)で使用した研究費で、人件費、原材料費、有形固定資産の購入費(又は有形固定資産の減価償却費)、リース料及びその他の経費」を示す。

まずは研究費の総額推移。1998年以降のデータが公開されている。

↑ 研究費総額推移(兆円)
↑ 研究費総額推移(兆円)

後述するがGDPや為替レートの変化など他の要因もあるが、公開範囲内では1999年以降総額は上昇を続けていた。しかし景気後退のあおりを受けてか、2008年には今世紀に入って初めて減少を見せている。詳細は元資料(あるいは機会があれば別途改めて紹介するが)を参照して欲しいが、特に有形固定資産購入費(要は実験道具)が8.4%と大幅な減少を示しているのが気になる。

続いて主要国における研究費をドルベースで換算したもの。日本とカナダは2008年度、その他はイタリアが2006年度で、それ以外は2007年度の数字である。

↑ 主要国における研究費(億ドル)
↑ 主要国における研究費(億ドル)

額だけを見ると日本の研究費は決して低くないように見える。しかしこれが米ドルベースで昨今の円高・ドル安の影響を受けていること、【主要国のGDP】にもあるように日本のGDPはここ10年強横ばいを続けていること、さらに上記数字はあくまでも公開された範囲のもので、一部国家においては(中でも軍関係の研究費が)計上されていない額が多分にあり、あくまでも公開分の参考値レベルでしかないことに注意する必要がある。

昨今、科学技術の研究開発費に対して色々な事情でスポットライトが当てられるようになった。予算を振り分けることだけが研究を推し進める唯一の方策ではないし、声高に「一番じゃないからやらなくてもいいジャン」的な主張を叫ぶ人もいる。本当の意味での無駄遣いはどんな場面においても無くすべきではあるが、「自分の目で見通しが立ちそうにないから予算切り捨て」という態度が正しいものかどうか、【世界各国の科学技術に対する考え方】などの結果と合わせ、もう一度考え直してみるべきだろう。



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