主要テレビ局銘柄の直近中間決算…(1)業績概要
2009/11/29 14:13
半年ほど前に【主要テレビ局銘柄の期末決算……(1)スポット広告とタイム広告、業績概略】で在京主要テレビ局(キー局)で上場をしている5局の、2009年3月期(2008年4月-2009年3月)における決算短信を解説した。「恐らく次期はもっと色々な動きがあるのでは」というのがまとめ的意見だったが、実際その後でいくつか提示した記事(例えば【2010年3月期におけるキー局銘柄の第1四半期決算を…(1)「キー局」と「スポット広告」「タイム広告」】)などではその予兆が現れていた。今回は全局分がそろった2010年3月期・2四半期(以後「中間期」)に関する各種財務データをグラフ化して、その予兆が現実のものとなったのか否かも含め、色々と眺めてみることにする。
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まずは主事業である放送事業を支える「売上」こと「テレビ広告」について。これは主に「番組提供のタイム広告」と「番組と番組の間のスポット広告」に分かれている。図式化するとこんな形。
タイム広告とスポット広告(再録)
詳しい解説は【2010年3月期におけるキー局銘柄の第1四半期決算…(1)「キー局」と「スポット広告」「タイム広告」】でしてあるので、そちらに目を通して欲しい。
さて業績概要だが、極めて興味深い結果となった。
キー局の2010年3月期中間期業績(前年同期比)
キー局の2010年3月期中間期業績(前年同期比)(棒グラフ化)
売り上げを減らしているのはどこの局も変わらない。ぱっと見るとTBSとフジメディアがややマシかな、という程度。しかし経常・純利益において、
・マイナス……TBS、フジメディアHD、テレビ朝日
の二極化が起きている(TBSが100%を超えるマイナスを純利益で計上しているが、これは去年が467億5000万円の黒字、今年が9000万円の赤字を出したため)。これは第1四半期と変わらない。プラスを示した両社の上昇「率」がすさまじいのは、いずれも前年同期が小さな額、あるいはマイナスだったことに起因する。
この2社が他社同様に売り上げを落としているにも関わらず、利益を大きく上昇させているのは、ひとえに収益率(売上高営業利益率)を大きく改善させたことが原因。要は「売り上げの減少分以上に経費を削って、「『売上』-『経費』」で導かれる『利益』を増やした」計算。
主要5局の2010年3月期・中間決算における放送事業営業利益(億円)
主要5局の2010年3月期・中間決算における放送事業営業利益前年同期比
主要5局の2010年3月期・中間決算における放送事業営業利益率
テレビ東京の利益増加率が異様な値になっているが、これは前年同期が4200万円・今年が12億9200万円と、前回分がほとんどゼロに近かったのが原因。
日本テレビ放送網とテレビ東京は前年から全社を挙げて経費削減を旗印に大立ち回りをしており、その効果が「財務」業績上に表れている形となっている。具体的にそれぞれの短信コメントでも
「売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、番組改編による番組制作費の減少や売上高減少に伴う代理店手数料の減少、その他全ての費用項目において全面的な見直しを行ったこと等により、前年同四半期に比べ275億8千7百万万円(△16.9%)減少し、1,361億1千2百万円となりました。この結果、営業利益は前年同四半期に比べ69億1千4百万円(+537.5%)増益の82億円となりました」
■テレビ東京
「費用面では番組制作費の削減や、減収に伴う代理店手数料の減少などにより、435億円6900万円、前年同期比14.6%の減少となりました」
とあり、経費を大幅に削ったことが言及されている。
(続く)
■一連の記事:
【主要テレビ局銘柄の直近中間決算…(1)業績概要】
【主要テレビ局銘柄の直近中間決算…(2)各社業績斜め読み】
【主要テレビ局銘柄の直近中間決算…(3)今や広告費の話題はスポット広告からタイム広告へ】
【主要テレビ局銘柄の直近中間決算…(4)放送事業で赤字を出した2社と気になること、そしてまとめ】
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