イケアのイカす「バルコニーを素敵なものに変身させる魔法」広告
2009/11/18 07:26
以前【イケアのイカすバス停留所広告】や【イケアのイカす階段広告】で紹介したように、スウェーデン発祥の世界的に有名な大手家具店イケア(IKEA)は、その優れた家具をアピールするため、世界各国で奇抜かつ素晴らしい発想の広告展開を行っている。今回紹介するのもその一つで、ドイツで展開されたもの。ちょっとした手間で出来る、イケアだからこそ可能な広告展開である(Coloribus.com)。
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団地のバルコニー部分が収納庫(ボックス)に早変わり
ドイツのフランクフルトにあるイケアでは、「お客に(イケア商品を)注目してもらい、配布するポストカードを受け取って返答をしてもらい、さらにお店に来てもらえるといいな」というニーズがあった(どこの商売でも似たような要望はあるが)。そこで考え出されたのは、集合団地の入り口にある団地1棟をイケアの広告にしてしまおうというもの。
具体的には良く見える部分にある直方体のバルコニーに色とりどりのラベルシールを貼り、まるで収納庫(収納ボックス)がつき出ているかのように演出。さらに一つのボックス、ならぬバルコニーには「イケアがこんな大きな収納ボックスを考えちゃいました」のメッセージ(左下2番目と右1番上は日本風のボックスに見える)。突然登場したカラフルな、まるで収納ボックスのようなバルコニーに団地を行き交う人々は皆足を止め、思わず見入ってしまうという次第。
さらにこの棟の下では、足を止めた人々にイケアのポストカードを配り、さらに注意関心と「これはイケアの広告ですよ」ということを印象付ける仕組み。立ち止った人は「あれは何だろう?」と疑問符を頭に浮かべている人も多いから、このポストカードを受け取ることでその謎が解け、「なるほど」と頭もスッキリする次第。
思わず足を止めバルコニーを眺める人々。そこに係がイケアのポストカードを配布
この広告展開は2週間にかけて行われ、団地住民やこの棟が見える道路を行きかう自動車のドライバーなど、合計で16万8000人ほどの目に留まった。さらにこの広告展開を地方紙が取り上げ、相乗効果も得られた。結果としてポストカードの返信率は18%にも達したという。
先の【イケアのイカす階段広告】もそうだが、既存の建造物で自社の商品と似ている部分をイメージし、そのイメージを現実のものとするべく、ラベルシールを貼るだけで巨大広告化してしまう手法は、イケアが得意とするもの。もちろん同社の商品がそのようなアイディアを生みだしやすいものが多いせいもある。しかし発想を最小限の労苦で現実のものとし、多くの人にちょっと嬉しくなるような「気付き」を与えてくれるあたり、非常にこなれているといえよう。
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