ブログで本名出してます? 本名などを隠すことが「大切だ」と考えてない人は7割強
2009/11/12 06:54
先に【中高年はブログへ、若年層はツイッターへ!?】で説明をしているように、ブログを中心にデータを収集し分析を行い、ブログ対象の検索エンジンサービスを提供するTechnoratiは2009年10月19日から、最新のブログ事情を分析・統計した結果を発表するカンファレンス「State of the Blogosphere」の今年版の資料を逐次公開した(State of the Blogosphere 2009)。世界全体におけるブログの現状を、多数の視点から確認できる貴重なデータが豊富に盛り込まれている資料として、極めて注目に値する内容である。今記事ではその中から、「自分のブログで自分の個人データ(本名など)を隠すことがどれくらい大切か」について、その調査結果を見ていくことにする。
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「State of the Blogosphere 2009」では市場調査会社Penn Schoen and Berland Associatesによって2828人のブロガー(ブログを書き込み、運営する人)を対象に2009年9月4日から23日にかけてインターネット経由で行われたもの(ちなみにアメリカだけではなく、全世界に対して行われている)。そのうち72%は自分の趣味などを目的にブログを行っている「自己満足派」。15%は自分の専門知識を披露して本職のサポートや宣伝に活用したり収入の一部を賄う「副業派」。9%は社内などで業務としてブログを展開する「業務派」。そして最後の4%は「プロのブロガー」。
芸能人などはもちろん本名(あるいは仕事上の「名前」)を使ってブログをしているし、企業の偉い人などのブログ、例えば「社長ブログ」なども本名を使うことがほとんど。その一方、個人のブログではペンネームやその業界内だけで通用する別名、さらにはゲーム内のキャラクタ名を用いてブログを運営することも少なくない。
それではブログにおいて、自分の個人データ(本名や属性など)を隠すのはどれくらい大切なことなのだろうか。全体では「大切だ」と思っている人は3割程度、そうでないと考えている人は7割に達し、「別に本名でもいいのでは」との考えが多数を占める結果となった。
自分のブログで自分の個人データ(本名など)を隠すのはどれくらい大切なこと?
なおこの「本名など」は、たとえどんなにその筋で有名になっていたとしても、実名で無ければ該当しない。あるネットワークロールプレイングゲーム内でその名を知らぬプレイヤーは居ないほどの有名キャラクタを操る人が、そのキャラクタ名でブログを運営しても、それは「本名」とはみなされない(原文では「your real identity」つまり「あなたの本当の正体、身元」と表記されている)。
ブログ・ブログ管理者のタイプ別で見ると、「プロブロガー」以外はほとんど変わりがないのに対し、「プロブロガー」だけが極端に「全然大切でない」の割合が多い。これは「プロブロガー」のブログ運営の目的の大きな要因として、自分自身のアピールがあるからに他ならない。
それでは「とても大切」「それなりに大切」と答えた人、つまりブログ上で個人データを隠すことを常と考えている人たちは、何を理由にしているのか。「業務派」は会社の命令だろうし、「プロブロガー」も仕事上の理由が考えられるので聞くだけ野暮な話だからとし、「全体」以外では「自己満足派」「副業派」のみの区分について統計を取った結果が次の図。具体的項目でもっとも多いのは「家族や友達に迷惑がかかるかもしれないから」というものだった。
なぜブログ上で個人データを隠すのか?(「とても大切」「それなりに大切」の回答者限定)(複数回答)
「自己満足派」よりも「副業派」に、家族や周囲に対する心配の度合いが大きいのは、多かれ少なかれお金が絡む話であり、それに対する「やっかみ」を危惧してのものだろう。そして「その他」の項目が多いのは、ブログ上で個人データを隠す理由については多種多様な「個別の理由」があるからだと思われる。隠したいデータがプライベートなものであるだけに、隠したい理由もまたプライベートなものであり、理由も簡単にひとくくりでまとめることなど出来ない、というところか。
一時期日本のブログ界隈でも本名を出すべきか否かについて論争が繰り広げられることがあった。どのような形で終息したかは覚えていないが、どこぞの国の言論統制の話ではないのだから、本名を出そうが出すまいが、その個人の自由であるべきだ、というのが多くの人の本音といえる。
もちろん本名を出すことのメリット・デメリットはあるし、立ち位置によってその度合いも大きく異なる(例えば「プロブロガー」の場合はメリットの方が多い場合が多々ある)。また、法令によって本名を出さねばいけない場合もある(資格取得を名乗る場合、本名とリンクさせなければならない場合が多い)。結局のところ、一人ひとりのプラスマイナスをよく考えた上で、自分の判断で決めるべきなのだろう。
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