諸外国の人たちが「信頼している・していない」組織・制度ランキングを表にしてみる(2017-2020年)(最新)
2021/01/26 05:25
先に【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているか】など何回かにわたり、【World Values Survey(世界価値観調査)】の公開値を基に、諸外国の「組織・制度に対する信頼度」の動向を探るためのグラフを作成し、その実情を精査した。一通りの国々の動向は確認できたので、今回はそれらを元に表やグラフを新たに作り、検証を行うことにする。具体的には「信頼度の合計」と「信頼度上位・下位ランキング表」の図版の作成を介し、各国の信頼に対する思惑の違いを見ていく次第である。
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信頼度合いの大きい中国、疑心暗鬼なウクライナやアメリカ合衆国
今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項などは先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度】を参考のこと。
これまでの記事で当サイトにおける独自計算方法を用い、主要国における各組織・制度の信頼度を算出した。そこでまずは、それらの信頼度を単純にすべて足し、主要組織や制度全体に、言い換えれば社会全体に対し、どの程度の信頼を寄せているのかを、相対的にではあるが確認する。
もちろんすべての組織・制度が公開されている国に限定されるが、中国は「国連」のみが現時点で非開示状態となっているので、特別に精査対象として加えることにする。
↑ 各国信頼度の合計(2017-2020年)
世の中には多様な組織・制度があり、今回の調査対象はその一部に過ぎない。その一部だけに対する信頼度を累計しても、社会全体への信服とはずれが生じる可能性はあるが、それでもなおそれぞれの国の算出結果を見ると、大まかにではあるが国の実情が透けて見える。
ウクライナが大きなマイナス値を示しているのは、先の記事で説明の通り社会情勢が悪化する事態が進行中なのが主要因。またアメリカ合衆国では主要メディアを巻き込んだ党派性の強い対立が生じているのが要因だろう。加えて全般的に個人の自立感(よく表現すれば個人の主体性、悪く言えば唯我独尊)が強い・強く振る舞える国ほどマイナス値が大きくなる傾向がある。その観点では中国が他国を大きく抜きんでる形でプラスを示しているのも納得はいく(中国では「国連」の値が勘案されていないにもかかわらずこの値である…とはいえ、恐らく中国での「国連」の値はマイナス値であろうから、実質的にはもう少し低くなるはず)。
信頼度の上位陣・下位陣を表組化する
続いてこれまでの集計結果を元に、各国の組織・制度に対する上位・下位3位をリストアップする。色が濃い方が順位が高い。なお、国の並びは信頼度合計の高い順となっている。
↑ 各国の信頼度上位3位(2017-2020年)
↑ 各国の信頼度下位3位(2017-2020年)
目に留まるのは「国軍」「警察」への信頼度が高い国が多いこと。そして「国軍」がトップ3に入っていない国(今回は韓国のみ)では、「大学」がトップ3に入っている。国家の実力行使組織への反発感が、そのまま自由自治的な場の代表であり、未来を担いうる人たちの通う場への期待と信頼につながっているのかもしれない。また「宗教団体」がロシアで第3位、ウクライナで第2位についていることや、中国における「政府」「国会」のトップ3入りが稀有な事例であることも分かる。
また、下位一覧では、「政党」「国会」など政治関連の機関への信頼度の低さが万国共通であることが分かる(その意味では中国はやはり特殊事例)。また、日本や中国における「宗教団体」への嫌悪感が、むしろ世界全体では稀なパターンであることも見て取れる。
このように色々な角度から各国組織・制度への国民の信頼度を確認したが、元々「世界価値観調査」からの数字であることから、個々の国の価値観が色濃くにじみでている結果となっている。計測時期は2017-2020年だが、実際の調査は国々で数年の違いがあり、また現時点とも差異が生じている可能性は多分にあるが、根底に流れる意識にそう大きな違いはないだろう。
各国の動向を見る際に、このような「国の価値観」を認識した上でチェックをすると、これまでとは違った視点で物事を考えられるようになるかもしれない。最終版の発表となる2021年秋の時点で他国の非開示状態だったデータが明らかになるようなことがあれば、改めて今件について精査したいものだ。
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