これは不思議・自称「世界一底が深い」ゴミ箱
2009/11/02 04:59
自分の部屋にゴミが散らかっていると片づけをしたくなるが、公共の場では知らんふりをしてしまう。「どうせ他の人が」「係の人が」という思いがあるのだろう。それどころか「面倒だ」とばかりにゴミ箱を無視してゴミを周囲に投げ捨ててしまう人も少なくない。このような状況を少しでも改善しようと、スウェーデンにあるフォルクスワーゲン社のプロジェクトチーム【Rolighetsteorin.se】が考え出したのは、ゴミ箱にちょっとした「仕掛け」を施すというアイディア。さてその「仕掛け」とは……
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The world's deepest bin(世界で最も底が深いゴミ箱)。
外見はごく普通の、これまで通りのゴミ箱。その底部に光センサーとそのセンサーに連動する効果音発生装置・スピーカーを取り付けている。ゴミを投入するとセンサーが感知し、設定されている音が鳴る仕組み。
センサーと効果音発生装置、スピーカーのセットをゴミ箱に設置
その効果音とは、動画を見ればお分かりの通り「ひゅ--」と長い落下音、そして奥深いところで何かが床にぶつかったような「ご-ん」という効果音。ゴミを捨てた人は「実はこのゴミ箱、もの凄い地下にまで掘られていて、ゴミを捨てるとその床にまでゴミが落ちて行くんだな」という連想をしてしまうわけだ。
もちろんゴミ箱そのものはこれまで使っていたのと変わりないものなので、実際にそんな奥深くまで掘られているわけではない。そしてゴミ箱を利用した人も、その違和感に思わず「?」な表情を顔に浮かべる次第。
「まじかよ、これ?」とゴミ箱の中をのぞく人、子供にゴミを拾わせて遊ばさせる保護者、面白がってあちこちからゴミを集め、わざわざゴミ箱に入れる人など、さまざまな行動を取る人がいたが、多くはゴミ箱の「仕掛け」をした人の思惑「ゴミ箱をもっと有効活用してもらう」通りになった。
「何これどーなってるのよ?」と中を覗き込む主婦陣
わざわざ子供にゴミを拾わせて「遊ばせる」保護者
この「仕掛けつき」ゴミ箱の設置の結果、1日で72キロものゴミが回収できた。これは周囲に置かれている普通のゴミ箱(31キロ)の2倍以上に相当する。プロジェクトチームの基本理論「TheFunTheory(楽しさが人を変えていく理論)」に基づいた作戦は見事に成功した次第だ。
動画の最後でプロジェクトチームは「楽しさは人々の行動を良い方向へといざなうものだ(Fun can obviously cahnge behaviour for the better.)」と唱えている。この言葉が改めて認識できる、楽しいゴミ箱といえよう。
……蛇足だが、動画再生で聴く限りでは落下を開始してから床に到着するまでの時間(効果音による)は大体7.5秒。これを元に床までの距離を概算すると、約280メートルとなる。それくらいの地下にまで落ちるゴミを想像すると、ますますゴミを捨てたくなる人も多いことだろう。
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