テレビ観た・これから観る時何をする? 番組ネタに知人とおしゃべり

2009/10/30 05:09

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テレビを観ながらおしゃべりイメージBPO(放送倫理・番組向上機構)は2009年10月23日、報告書「“デジタルネイティブ”はテレビをどう見ているか?-番組視聴実態300人調査」を公式ウェブ上に掲載した。それによると、同調査母体(若年層)においてはテレビ視聴前後の行動としては、「友人や知人と直接会った時に話題にする」という回答がもっとも多かったことが分かった。テレビ番組の内容そのものよりも、番組内容を他人との直接コミュニケーションのための材料とする視聴理由が多いこと、言い換えれば「他人が観ているから私も(共通の話題に乗るために)観る」状況がうかがえる。一方で、番組内容に関してメールをしたり検索をするなど、インターネットメディアをテレビ視聴の補完ツールとして用いている様子もみうけらる(該当資料は【こちら】に掲載)。



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今調査は2008年11月10日から11月16日までの間に、専門調査員による訪問留置調査方式で行われたもので、有効回答数は311。16歳から24歳の東京都内に住む男女を対象としており、年齢階層は非公開。職業別階層では高校生114・大学生92・社会人59・パートやアルバイト24など。資料タイトルにもあるように、若年層を対象とした結果であることに留意しなければならない。

テレビ番組はそれ自身を観てオシマイというわけではなく、その前後に関連するアクションを起こすことが常といえる。テレビ番組は「情報」を伝達するものであり、「情報」を受け取った視聴者は、事前に何らかの目的意識を持ってその「情報」を取得したり、その「情報」に感化されてさまざまな行動を起こすからだ。

それではテレビの視聴前後における情報関連の行動には、どのような動きがあるだろうか。リリースには数多くの選択肢とその選択肢への回答率が掲載されているが、そのうち10%を超えたものについて抽出したのが次のグラフだ。

テレビ視聴前後における情報行動(10%超のみ、複数回答)
テレビ視聴前後における情報行動(10%超のみ、複数回答)

もっとも同意意見の多かったのは「番組の内容について、友人・知人と直接会った時話題にする」。半数の人がこの行動を行うとしている。次いで多数の同意を得た意見「番組の放送予定について、友人・知人と直接会った時話題にする」とあわせ、冒頭でも触れているように、番組内容を「他人との直接コミュニケーションのための話題・材料・ツール」として用いていることが分かる。これはテレビゲームなどにも良くある傾向で、「●×ちゃんがやってるから私もやる」という子供のおねだりの言葉にも反映されているといえよう(あるいは「仲間外れになりたくないから」と表現できる)。

同時にこの情報行動が上位についているということは、「テレビ番組の内容そのものの良し悪しはあまり気にしない」場合も多々あることが想定される。自分が良いと思ったものでも、それが少数意見であれば、他人との共通点を見出だすことは難しい。コミュニケーションツールの素材としてテレビ番組を視聴する場合、個人個人が「良いもの」と判断したものではなく、「他人も理解し、観ていそうなもの」を選びがちになるわけだ。

テレビを観ながらケータイで
やりとりをする若年層が
多数見受けられる
一方、「インターネットで検索する」「内容について友人・知人とメール交換する」など、自分自身の知識欲の充足や、インターネット間のコミュニケーションツールとしてテレビ番組を用いている人も相当数に登っていることが確認できる。特にリリースでも指摘されているように、「携帯電話のメールのネタとしてテレビを観る人が増えている」のが分かる。例えば「テレビ番組を観ながらメールでやり取り」をする場合なら、情報の共有化を通じて「リアルタイムな一体感」を得られる快感を抱いているのだろう(いわゆる「ニコニコ動画」が流行っている要因もここにある)。

社会人ほど「醒めて」くる
上位五位の行動について、属性別に区分したグラフがこちらになる。「テレビ放送をコミュニケーションの材料として用いる」場合が多いことを考えれば、ごく当然の結果が出ている。

テレビ視聴前後における行動(上位五位、属性別)
テレビ視聴前後における行動(上位五位、属性別)

全般的に男性よりも女性の方が回答率が高く、特に「直接会った時に話題にする」項目では極めて高い値を示している。これは【「夫よりまずお友だち」女性の口コミパワー最強論】などでも示しているように、男性よりも女性の方がおしゃべり・口コミが好きという本来の性質によるものと思われる。

一方で学校など職業別で見ると、大学生が行動頻度としてはピークで、社会人になると値がグンと減るのが分かる。これは社会人になると、学生時分のように「テレビ内容で会話を創る」ような時間的余裕が無い・相手がいない(必要ない)のが理由であろう。その証拠に、今グラフの項目中、唯一「自分内で完結する」インターネットの検索項目については、高校生とあまり変わらない頻度を示している。一言で表現すれば、「俺らもう大人なんだから、テレビ番組の内容で他人と騒いでいる年頃じゃないよネ」というところだろうか。



今調査項目では、「若年層はテレビ番組を他人とのコミュニケーションの素材として視聴する傾向がある」「対面の話題がメインだが、ケータイなどのネットツールの対話素材としてもテレビ番組は用いられる・視聴される」「社会人になるとテレビ番組を素材とした他人とのコミュニケーションは控えられる」などの結果が伺える。この結果がそのまま中堅-高齢者にも適用されるとすれば、高齢者ほとテレビ視聴時間は減るはずであるが、実際は逆の傾向を見せている。

これは推論でしかないが、歳を経るにつれて(現在の中堅-高齢者は)他人とのコミュニケーションには閉鎖的になる一方、【「新聞って信頼できるよね」「正確だよね」はそれぞれ6割、ただし若者と高齢者の間には大きなギャップも】【新聞記事や特集7割・テレビ番組8割……シニア層の情報源、テレビや新聞が圧倒的】などにもあるように、テレビを「絶対的権威」と信じ込み、「他人の言うことは信じなくともテレビが語ることなら信じる」という考え方を強めているのではないだろうか。これらの人たちが、テレビが絶対的権威を持ち、まるで「お上の声がそのままお茶の間に伝えられるのがテレビである」かのように認識しながら育った世代である以上、仕方の無い・当然の話なのかもしれない。

逆にいえば現在若年-中堅前の年齢の層がこれから中堅-高齢層に達すれば、現在の中堅-高齢層とは明らかに違った姿勢を、メディアに対しては見せることだろう。



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